いまや若者にとって自己イメージをいかにして形成することは日常に欠かせない要素になっている。それを象徴するのがSNSにおける自己表現であり、その伝え方も“間接性”が重視されるようになっている。そんな若者たちの背景にある心理を実践女子大学人間社会学部の松下慶太准教授が解説する。

図表1 ソーシャルメディア上の写真の構成のされ方
現実の演出とアプリなどを用いて画像を編集した結果、ソーシャルメディア上で見える現実・写真が構成される。“盛る”演出をするのが、フォトプロップやフォトフレーム(右写真)などだ。
“体験する”自分によるイメージ・コミュニケーション
若者がモノを買わなくなったと消費離れが叫ばれて久しいですが、その背景には“所持する”ことから“体験する”ことによる自己イメージ形成・コミュニケーションへの移行が見られます。こうした“体験する”自分を見せるイメージ・コミュニケーションの変化を象徴するのが、SNSにおける自己表現です。
2015年にInstagramのユーザーが4億人を超えたことからも示されるように、写真・映像を主なコンテンツとしたソーシャルメディアは注目を集めています。 ここでは、ソーシャルメディアに写真や映像を投稿する若者たちの自己表現やコミュニケーションのありようについて、Instagramを中心に考えていきたいと思います。
“現代版プリクラ帳”Instagram
Instagramに投稿されている写真は基本的にアプリで編集されたものです。例えば、画像編集アプリ「Beauty Plus」のサブタイトルは「プリクラ並みに盛れる神カメラ! 盛り写メを撮ろう!」ですし、写真の周りを枠やスタンプなどで飾るためのアプリも多くあります。そういった意味で、現代のスマートフォンは「持ち運べるプリクラ」と言えます。
一方で …