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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本―ソーシャルメディア

エンゲージメントを獲得するコンテンツのつくり方

池田紀行(トライバルメディアハウス)

テレビCMからソーシャルメディアの投稿まで、消費者との接点が格段に増えたことで、おのずと広告・コンテンツ制作が必要とされる場面も、そのバラエティが広がっています。担当者自らに制作スキルが求められるもの、外部のパートナーのディレクション力が求められるものがありますが、本特集では双方を織り交ぜながら、1年にわたって、特にアウトプットの完成度を高める実践的ノウハウ・考え方を解説していきます。

あなたの会社は、なぜSNSをやっているのか?

日本でTwitterやFacebookのユーザーが急拡大した黎明期から今年で5年が経ち、多くの企業がソーシャルメディアのマーケティング活用を当たり前のように行うようになった。いま一度、ソーシャルメディアによって獲得できるマーケティング効果とは何かをおさらいしておきたい。

まず「ソーシャルメディアは効果測定が難しい」「営業上の成果が見えづらい」という声は、ほとんどの場合、「目的が明確になっていないこと」が原因である。あなたは、「なぜあなたの企業(ブランド)は、TwitterやFacebookを運用しているのですか?」という質問に対して、明確に回答できるだろうか。「競合が始めたから」「流行っているのでなんとなく」「広告会社に提案されたから」という回答では駄目だ。効果測定をシンプルにするキーワード。それは、「ROI測定の前にRを問え」「効果測定の前に目的を問え」である。

例えば、日用消費財メーカーにおけるソーシャルメディア活用で考えてみよう。ブランドマーケティングにおいて、純粋想起率(Evoked Set)は重要な指標である。仮に自社ブランドの純粋想起率が4位で、それを2位に引き上げたいという課題があったとする。TwitterやFacebookでロングエンゲージメントを図った結果(ソーシャルメディアの非接触ユーザーは4位のままで)接触ユーザーの純粋想起率が2位に上がった場合、マーケティングゴールとしてのKG(I Key Goal Indicator:重要目標評価指標)を達成したと評価できる。「多くの企業で効果測定が難しい」と感じる理由は、ROI(Return On Investment)の「R」が規定できていないためなのだ。純粋想起率を上げることが目的(Return)なのであれば、「純粋想起率の順位」をKGIとして効果測定を実施すれば良い。

業界を超えて共通するKGI(売上の直前にあり、売上に大きな影響を与えるコミュニケーション指標)は、概ね、「純粋想起率」「好意度」「購入意向」の3つに集約される。この3つのKGI指標に影響を与えているのがKP(I Key Performance Indicator:重要業績評価指標)で、リーチやエンゲージメントが重要指標となる。数十社のKGI調査を実施してきた経験からすると、ソーシャルメディアでのKPI(リーチやエンゲージメント)がKGI(純粋想起率、好意度、購入意向)を向上させ、KGI向上はLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)に影響を与えていることは確かである。

この方程式が成り立っていることが検証できれば、あとはいかにしてリーチとエンゲージメントを向上させるかが日々の業務の目標(KPI)となる。

オーガニックリーチと広告でリーチを最大化する

では、KPIとしてのリーチやエンゲージメントは、どのように向上させることができるのだろうか。少しややこしいのは、TwitterとFacebookではリーチの考え方が異なることだ。Twitterのフォロワーには物理的にすべての投稿が配信されているが、Facebookは独自のアルゴリズム(エッジランク)によって、ユーザーの興味関心に沿ったコンテンツが優先的に表示される仕組みを持っている。

しかし、Twitterも全投稿がユーザーの目に触れているわけではない。Twitterユーザーであれば無料で見ることができる解析ツール「ツイートアクティビティ」を見ると、Twitterアカウントのフォロワーに、自身の投稿が表示されている(フォロワーのタイムラインに読み込まれた)ツイートのインプレッション率は平均で10~20%程度である。これは、フォロワーの中には非アクティブユーザーが含まれていることや …

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