電通で38年間、経営・事業戦略からブランドコミュニケーション、企業カルチャーの変革まで、数多くの企業やNGO・NPOの仕事に携わってきた白土謙二さんが退任を迎えた。強烈な個性の先輩クリエイターや企業のリーダーに出会い、共に仕事に取り組んできた半生を振り返り、若い電通人に向けたメッセージとして、最後の講演が行われた。自身の成長につながった50名を紹介した講演のダイジェストをお届けする。
優れた企画書をお手本に――基礎をつくってくれた師匠たち
今日は「誰が電通人をつくるのか」というテーマで、僕がどういう人たちと出会うことで成長してきたのかをお話しします。教えていただいたことと、そこから学んだことを紹介することが、その方々への最大の恩返しになると思うからです。いいかげんなことは決して許さない、彼らとの真剣勝負で獲得した「実戦知」(仕事の現場から得た知見)が、パワーとなり、僕を育ててくれたのだと思っています。肩書きは当時のまま、話させてもらいます。
新入社員時代、僕はどうすればプレゼンで企画が通るのかまったく分からずに悩んでいました。そこで当時在籍していた2CD局でプレゼンがうまいのは誰かと聞いたら、ほとんど全員がクリエイティブディレクターの増田良夫さんだろうと言うんです。それで、初対面でしたが本人に会いに行き、古いもので構わないので企画書をもらえませんかと頼みました …
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