消費者がオンラインで過ごす時間が増える中で、ブランドのコミュニケーションの主戦場もオンラインへとシフトしつつある。そこで注目されるのが、訴求力の高い動画の活用。グーグルが国内外の事例をもとに、動画活用の実践を解説したセミナーの様子を紹介する。
グーグル ブランドソリューションエキスパート中村全信氏(左)と、同社クリエイティブチームThe ZOOAPACの鈴木康介氏(右)。
ユーザーとの絆を深める コンテンツ活用のポイント
3月17日、東京・表参道にてグーグル主催のセミナー「Brand365~動画の活用で広がるオンラインマーケティングの未来」が開催された。本セミナーは2014年11月に3000人を超える来場者を迎えて開催された「宣伝会議サミット」の全36講演のなかでも、特に注目が高く、早々に申込み締め切りとなってしまった「Brand365 ~ブランドのファンを増やすための動画コンテンツ戦略を考える」のアフターセッションとして実施されたもの。
今回はサミットのセッションをさらにバージョンアップし、グーグルブランドソリューションエキスパート 中村全信氏の講演に、同社クリエイティブチームThe ZOO APACの鈴木康介氏によるセッション「brand,user、Web:ウェブを使ったブランドとユーザーの関係構築」を加えた2部構成で行われた。
第1部で中村氏は、「動画コンテンツ戦略を考える前に、まず自社ブランドがコアターゲットにとってどのようなポジションを築いているか整理する必要がある」と述べた。その上で、ブランドのファンを増やすための動画戦略を、(1)インサイトを掌握して、(2)戦略的にコンテンツを仕分け、(3)コンテンツを活用する、という3つのステップで説明。インサイト掌握では、「データの裏側にある真実を見極めることが重要」と中村氏。グーグルトレンドの検索データを例に、ターゲットのトレンドを読み解くコツを伝授した。
中村氏はコンテンツを、(1)感動的な動画、(2)消費者とブランドの間のハブとなる動画、(3)ノウハウやデモンストレーション系の動画の3ジャンルに仕分け、それぞれをYoutubeで人気の動画で解説。「ただし、ウケがいいからと感動的なコンテンツばかり作っていたらチャンネル登録を外されることさえある」と話し、3つのジャンルの活用法を、ジャンル(1)は集中展開、(2)は定期的にプッシュ、(3)は再生リストにまとめて年間にわたり保持する、と説明。3つのジャンルを見事に使い分けて効果をあげている事例としてボルボトラックのコンテンツ戦略を紹介した。
第2部は鈴木氏による「brand,user、Web:ウェブを使ったブランドユーザーの関係構築」。マルチデバイス時代の今、ユーザーが見たいと思うコンテンツをいかに作り出すかが問われている。「もはや競合は同業者ではなく、Web上にコンテンツを提供するすべての人々」と鈴木氏。膨大なコンテンツの中からユーザーに選ばれ、「たとえ不祥事があっても私はこのブランドを支持する」と思われるような強い絆を構築するにはどうすればよいのか。そのヒントとして鈴木氏は、(1)ユーザーを理解したうえで心に届くメッセージを発信する、(2)ユーザーの心に残るサプライズで楽しい体験を与える、(3)ユーザーに行動を起こさせて心に足跡を残す、(4)ユーザーにエキサイティングな体験を仕掛けてより深い絆を構築する、(5)ユーザーの既成概念を揺さぶって考えさせエモーショナルな結びつきを構築する、という5つのポイントを示し、Webサイトへのビジター数が2000%増加したアメリカの法律事務所の事例など、海外の事例で詳しく解説。「この5つのポイントを押さえれば、ユーザーとの関係性を強める力になると考えている」と、セッションを締めくくった。
お問い合せ
グーグル株式会社 www.google.com