2014年11月6日、セールスフォース・ドットコムと宣伝会議は「JAPAN CMO CLUB」を設立した(CMO:Chief Marketing Officer)。日本のマーケターを支援し、その活動や成果、社会的役割を国内外に発信することを目的とした組織で、会員社同士が交流する「研究会」の場を年6回程度開催していく予定。本コーナーでは研究会の様子をレポートする。
従来は「First Moment of Truth(店頭で消費者が商品と出会う瞬間)」が重視されていたが近年、店頭に行く前の広告や口コミへの接触プロセス「Zero Moment of Truth」が重視されるようになってきた。鈴木氏は、さらに購入した後、実際に商品を使用する体験(「Second Moment of Truth」)も加えている。
お客様が求めるのはエンドユーザー目線の発信
3月5日に「JAPAN CMO CLUB」の5回目の研究会が開催された。今回はキリン、フォルクスワーゲン グループ ジャパン、ニューバランスジャパンの3社のトップマーケターが参加。研究会では、各社が考えるカスタマージャーニーを持ち寄り、それをもとに議論を深めているが、価格帯の異なる商品を担当するマーケターが集まったにも関わらず、「現在のファン」「現在のユーザー」を知り、またこの人たちとの関係を強化することが、新規の顧客獲得にもつながっていくという認識に共通点が見えてきた。
例えばニューバランスの鈴木氏からは、右図のジャーニーを提示し、「私たちマーケティング部にとっては『Media Experience』が大事だが、お客様の視点から考えると一番大事なのは『Usage/Service Experience』の順に重要なので、ブランドとしてのサービスデザインを見直す必要があると考えている」との話があった。
これを受けて、キリンの小川氏も「ビールのような商材だと、どうしても企業は新規顧客獲得に目が行きがちだが、いま現在、当社のブランドのファンでいる方たちの気持ちを深く知ることから、新規のお客様に提案する切り口も見えてくると考えている」と話した。フォルクスワーゲンの鶴氏も「最近、自動車の購買行動の変化を感じる。ネットや周囲の口コミで情報を吟味し、ほぼ購入する車種を決めてから販売店に足を運ぶ人が増えている。それだけに、口コミの影響度がこれまで以上に重要になっている」と話し、すでにオーナーになっている人たちのインサイト把握や、オーナーを介した発信を重視しているとの考えを提示。加えて、「メーカー目線の情報発信では、消費者は振り向いてくれない。お客様から見ると、どんな風に見えるのか。エンドユーザー目線での情報発信、コミュニケーションが必要とされている中で、オーナーとの接点はますます重要になる」との考えを述べた。
ディスカッションを受け加藤氏は「カスタマージャーニー、さらにその中でも重要な瞬間を共有すると、具体的なコラボレーションのアイデアが多く生まれてくるという手応えを感じている。さらに今回のテーマとなった、購入した後、商品を使用・体験する場までジャーニーを広げて考えると、より具体的なコラボレーションのアイデアも生まれてきた。ブランド同士のコラボレーションを創発することも『JAPAN CMO CLUB』の活動の目的の一つだが、今回の研究会を通じ、実現の道筋も見えてきた」と議論を総括した。
写真左からフォルクスワーゲン グループ ジャパン マーケティング本部マーケティングコミュニケーション担当部長 鶴ゆみ氏、ニューバランス ジャパン マーケティング部 部長 鈴木健氏、キリンCSV本部 デジタルマーケティング室 デジタルマーケティング担当 ソーシャルメディアチーム 小川直樹氏、「JAPAN CMO CLUB」のCMO(Chief Marketing Organizer)である、加藤希尊(かとう・みこと)氏(セールスフォース・ドットコム マーケティングディレクター)。
「JAPAN CMO CLUB」の活動報告は、随時、宣伝会議運営のWeb メディア「アドタイ」にてレポート中です。
http://www.advertimes.com/special/cmoclub/