広告マーケティングの専門メディア

           

FOCUS ターゲットインサイト

「損したくない」のが消費者心理

コナミスポーツ&ライフ

「人の心を動かすツボ」と言われる「インサイト」。どんな心の「ツボ」をつけば、生活者の「欲しい」気持ちを生み出せるのか。毎号一つの事例を取り上げ、その背景にあったインサイトを紹介していきます。

新料金プランを紹介するポスター

「続けられる」ための料金体系とサービスを導入

スポーツクラブ最大手「コナミスポーツクラブ」は、2013年7月に料金体系の大幅な改定に踏み切った。無制限に利用できる固定の月会費制をメインにした従来の体系を見直し、ユーザーの利用頻度に合わせて4段階から選べる従量課金制を導入。さらに施設を4つのカテゴリーに分け、4×4で16通りの月会費を設けた。

業界でも珍しいこうした料金体系を導入したのは、「従来型の料金体系では会員の納得感を得づらくなっている」(コナミスポーツ&ライフ 高原隆一氏)ことが背景にある。スポーツクラブに関心のある層が入会をためらう理由で多いのは「続けられるか不安」、退会者の声で最も多いのが「月会費の元が取れなかった」というもの。「『得したい』の前に『損したくない』という消費者心理がうかがえる」と高原氏。こうしたインサイトから導き出されたスローガンが、「続けられるスポーツクラブ」だ。

全国に約180ある施設ごとに設定していた料金を統一化したことに合わせ、会員は全国どの施設も利用できるようにした。さらに、「体重を落としたい」「ボディラインを整えたい」などニーズに合わせたトレーニングメニューや知識を提供する独自の「コナミメソッド」を充実させている。こうした施策はすべて、「続けられるスポーツクラブ」のために進めているものだ。

スポーツクラブ市場の人口近年は微増で推移しているというが、施設はそれを上回るペースで増え続け、「限られたパイを奪い合うレッドオーシャンとも言える競争環境にある」(高原氏)。ホットヨガなど特化した施設に人気が集まる中で、苦戦を強いられていたのが同社のような「総合型」スポーツクラブ。そこで、「本当のユーザーベネフィットとは何か」から見直した。導入後は退会者の減少に顕著な効果が見られ、次なる施策に向け手応えを感じているという。

「総合型スポーツクラブで日本一の施設数を持つ当社だからこそできることもあるはず」と高原氏。膨大な会員データをもとにした情報提供をコナミメソッドに反映させるなど、新たな可能性に意欲を見せる。

    point 1

    総合型スポーツクラブが顧客に提供できる価値を見直す

    point 2

    「続けられる」ことをゴールに、あらゆるサービス体系をリニューアル

コナミスポーツ&ライフ マーケティング部 マネージャー
高原隆一氏(たかはら・りゅういち)

1999 年コナミスポーツ&ライフ入社。スポーツクラブの運営スタッフやアクションサッカーの普及促進、広報などに携わったのち、2013年から現職。

無料で読める『本日の記事』をメールでお届けいたします。
必要なメルマガをチェックするだけの簡単登録です。

お得なセットプランへの申込みはこちら

FOCUS ターゲットインサイト の記事一覧

「損したくない」のが消費者心理(この記事です)
高級感が売りのミニバン「エスクァイア」がヒット その戦略は?
明光義塾が仕掛ける「勉強の仕方が分かれば、うちの子もやればできる子」
見映えも予算も大事 西友のお歳暮戦略が突いた「贈り物」のインサイトとは?
ニューバランスジャパンは、若い女性のどんなインサイトを捉えたのか?

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
宣伝会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する