新制度施行直前の今、ヘルスケア関連商品事業の関心はエビデンス取得に偏りがち。しかし、消費者の心を動かす、コミュニケーション設計がなければ、“仏作って魂入れず”。日経BPヒット総合研究所 上席研究員の西沢邦浩氏が実例を交え、ポイントを解説する。
ナチュラルローソンではベジタブルファーストキャンペーンを実施。写真はキャンペーンのポスターとクーポン。期間中は特設棚も設けられる。
エビデンスをいかに伝えるか
これまでわが国において、健康機能を持った食品の効能をうたえる仕組みは国が審査して許可する特定保健用食品(トクホ)だけだったと言っていい。栄養補助食品は、ビタミン・ミネラルに関して「1日摂取の上・下限値の範囲内」の配合で表記できるという規格基準型制度のため、企業が特定の食品成分に関して独自に得たエビデンスに基づく表記ができるわけではなかった。
そのため各社は、目の老化防止を訴求する場合には「くっきりとした日々に」、関節ならば「ふしぶしが気になる方に」といった“文学的な”コピーワークをもって対処してきた。その意味で、今年、対象となる食品もしくは食品成分にしかるべきヒト試験データがあれば、企業の責任で、身体部位の構造や機能のサポートをうたえる新しい機能性表示制度が動き始めることの意味は大きい。
現時点(2015年1月中旬)で最終ガイドラインは出ていないが、これまでに『日経ヘルス』誌で取り上げた食品の事例を紹介しながら、エビデンスを持つ商品のマーケティングを行う上で留意したいポイントに触れていきたい。
食後高血糖の意味とその抑制に寄与する食品
紙幅も限られるので、ここでは …