経営戦略論の大家として知られるマイケル・ポーター教授とマーク・クラマー氏が共同設立した「SVI(Shared Value Initiative)」は、グローバルなCSV推進コミュニティとして、CSV戦略導入・推進コンサルタントの認定などを行っている。同団体のトレーニングプログラムに参加したエンゲージメント・ファーストの渡辺 弘氏がレポートする。
SVI Leadership Summit 2014 ニューヨークでの、マイケル・ポーター教授の基調講演。35カ国から約400人が参加した。
SVI Consulting Affiliate Training ロンドンのために世界各国から集まった訓練生たち。全てのプログラムを終えるとトレーナーの修了証が発行される。
世界的なCSVへの関心映しNYとロンドンでイベント開催
企業の新しい経営戦略として「CSV」が日本でも話題となり、CSV関連書籍も複数出版され、ビジネス誌の中でもCSVという言葉をよく目にするようになりました。弊社の親会社でソーシャルメディア活用支援などを行うメンバーズも次期経営戦略「VISION2020」の中核にCSV理念を据え、今後、企業のCSV戦略立案・活動支援を強化していく方針です。
その一環で昨年5月にニューヨークで開催された世界中のCSV推進企業が集う「SVI(Shared Value Initiative)*リーダーシップ・サミット2014」、11月にロンドンで開催された「SVIコンサルティング・アフィリエイト・トレーニング」に参加してきました。両体験を通じて得た私なりのCSVに対する解釈をまとめ、日本企業にとってCSVが意味するものを考察してみます。
ニューヨークのサミットには35カ国から約400人が参加し、マイケル・ポーター教授の基調講演に続き、ネスレやユニリーバなどのCSVを推進するグローバル企業の事例を聞くことができました。日本からは住友化学とキリンの2社が登壇し、各社のCSV事例が紹介されました。最終日には「健康」「資源」「金融」「教育」の4分野に分かれ、CSV経営を考える分科会が行われました。一方、ロンドンでのコンサルティング・アフィリエイト研修には、主にCSVを支援するコンサルタントが集い、CSV経営推進のためのコンサルティング手法をマーク・クラマー氏の講義とケース・メソッドを通じて学びました。
*マイケル・ポーター教授とマーク・クラマー氏が共同設立した非営利コンサルティングファームFSGが運営するグローバルなCSV推進コミュニティ。CSVのコンサルティングを世界的にリードする企業・団体のネットワークを構築し、CSVコンサルティングサービスに関する基準を満たしたCSV戦略導入・推進コンサルタント「Shared Value Initiative Affiliate」の認定を行っている。
CSVを実現するための3つのアプローチ
CSVは米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授とマーク・クラマー氏が …