クリエイターの高城剛氏は、1980年代からメディア・コンテンツ産業で活躍し、2008年からは海外に拠点を移して、世界を俯瞰する視点で創造産業全体に鋭い提言を発信し続けている。そんな高城氏に、LINEの田端信太郎氏が社会、メディア、人間について問いかけた。2014年11月11日に電通ホールで行われたトークの模様を紹介する。
広告営業に未来はあるのか?
田端▶ 僕は高校生の頃からの「高城フォロワー」で、今も高城さんのメルマガを欠かさずチェックしています。そんな憧れの方に、今日は「テレビ」の話からうかがおうと思って来ました。今、NHKの連続テレビ小説ドラマ「マッサン」効果で、ニッカのウイスキーがめちゃくちゃ売れているみたいですけど、日本のテレビ局の中でNHKは面白いし、ネット対応もダントツに進んでいると思います。では、NHKになくて民放にあるものは何か?それは「広告営業」です。デジタル投資でも何でも、民放は何か新しいことをしようとすると、広告営業が“抵抗勢力”になって「それで視聴率が下がったらどうするんだ!」と反対するからできないのかなと思ったんです。
高城▶ 広告営業って、つまり枠の話でしょ?でも、もう媒体や枠は崩壊しつつあるわけじゃない?アメリカでは40歳以下の60%はもうIPテレビです。テレビの前の人に個別に広告が打てるわけです。同じ時間にテレビの前に座って国民が同じ広告を見ているって、昭和のフレームですよ。これから日本もテレビのIP化が進んで、リアルタイムのビッティングが行われるようになると思います。
田端▶ 人間がメディアプランの線を引かなくなるということですか?広告営業マンもいなくなるんでしょうか。
高城▶ オリンピックみたいなビッグイベントにはやっぱり必要だから、少しは残るでしょう。でも、日常的に流れる番組は全部ロボット化すると思います。ただ多くのクライアントが欲しがるターゲットの枠は確実に高値で取引されるだろうから、広告会社にとっての問題は、その新しい時代の枠を持てるかどうかでしょうね。
力のある個人の時代
個人と組織の関係はどう変わる
田端▶ 次に「個人が最強のメディア」をテーマにお聞きしたいと思います。今、個人がどんなコンテンツよりも面白い時代です。組織と個人のパワーシフトが起こっていて ...