視察研修には広告主企業、広告会社各社の代表、大学教授など33名が参加。日本のマーケティングの最前線で活躍する8名が、本研修に参加した目的や、研修を通じて得たこととは。
未来の自身の仕事を目撃するような体験
衝撃を最も受けたのは、TBWAのクライアントルームにあった、洗練されたダッシュボードだ。それが、企業側とエージェンシーの共通言語となり、グローバルにリアルタイムにアクションとして反映されていく。自分のいる場所の先にあるものを、目撃するような、刺激的な体験だった。
アメリカの“今”を、Advertising Weekや企業訪問を経て体感したのも、大きな収穫だ。中でも嬉しかったのは、データドリブンと言いつつも、そこからクリエイティブジャンプすることの大切さが共通して叫ばれていたということ。
元気のいいクリエイティブブティックは、オフィスも楽しい。自由なアイデアが生まれる空気を吸って、私自身も改めてリフレッシュするいい機会となった。
尾崎美香 氏花王 作成センター スキンケア・ヘアケア広告作成部 ディレクター |
企業価値の向上か、本業の体質強化か
今回のNY視察において一番の関心事は、ずばり、我々のクライアントの北米展開を支援する際に、協業できる企業があるか、であった。Webでの情報収集に限りはあれど、渡航前にはCo:Collective社が最もそれに近いように感じていた。だが、実際に最も感銘を受けたのはAnomaly社であった。両社の違いは何か。個人的見解は下記である。
Co:Collective社の狙いは、ダイバーシティ基軸の新規事業を立ち上げ、キャッシュの入り込みやすい仕掛けを作り、企業価値を高めることに収斂される。一方で、Anomaly社は、労働集約型ビジネスからの脱却を「本気」で志向しており、クライアント視点に立脚した成果報酬型でのビジネスを成功させている。
優劣の問題ではないが、我社とベクトルを同じくするのは、当然後者である。感銘を受けた「本気」さとは、決めたことを実行する経営意志の徹底と、そのために取捨選択した「捨」のリスクを取る潔さだった。
2歩、3歩、先を行く彼らに協業などとは、おこがましさすら感じながらも、同時にきっと追いつける、そんな肌感覚を得たことは大きな収穫であった。
秋山太郎 氏アイ・エム・ジェイ デジタルマーケティング 第4事業本部 本部長 |
データ活用に「人」が介在する必要性を実感
ビッグデータからアイデアは生まれるのか?その答えを先行事例から探るために、今回の視察に参加しました。
結論は「生まれる」でしたが、データとテクノロジーが自動的にアイデアを出してくれるという訳はなく、これまでと同様「人」が大きく介在する必要があるのが現状のようでした。
ただし、これまでとの大きな違いは、データの多様化・大量化、テクノロジーの急速な進化に伴い、一人の人間がデータ、テクノロジー、クリエイティブの全領域を網羅しきることが不可能になりつつある点にあり、そのため、アメリカでは「ブレーンとしてのプロデューサー」がこれまで以上に注目を浴びつつあると感じました。
その役割として期待されることは、進行管理やスタッフのアサインメントだけではなく …