WPPは、新しい市場や新しいメディアを取り巻く世界規模の変化に対応しながら拡大を続け、世界最大の広告会社グループに成長してきた。グループを率いるマーティン・ソレルCEOは、日本のマーケターに「オリンピックに向けて準備を始めるべき」と説く。ソレル氏とWPPのスペシャル・アドバイザーを務めるマイケル・ペイン氏に聞いた。聞き手/宣伝会議編集室長・田中里沙
WPPのマーティン・ソレルCEO(右)とスペシャル・アドバイザーのマイケル・ペイン氏。
新興国へのシフト進む
─広告ビジネスをめぐる世界の動向をどう見ていますか。
マーティン・ソレル▶この5~10年を見ると、グーグルをはじめとする新しい勢力の台頭や、長きにわたる景気後退といった荒波を受けてきましたが、広告業は力強く成長してきました。WPPのビジネスを2000年時点と比較しても、大きく変化をしていることが分かります。WPPは今後の成長戦略として4つの優先項目を掲げています。
1つ目は「新しい市場」です。BRICsやネクストイレブン(NEXT11)と呼ばれる中国や東南アジア、中南米、アフリカ、東欧など、成長の著しい市場にビジネスが徐々にシフトしつつあります。WPPの売上高に占めるこれらの地域の割合を見ると、2000年の頃は15%ほどにとどまっていたものが、今では31%にも上ります。
2つ目は「新しいメディア」、すなわちデジタル領域です。2000年頃はほぼゼロでしたが、今や売上総利益の35%ほどを占めています。1つ目の高成長の地域とデジタルを重ね合わせて、今後グループ売上高の40~45%に成長させていく方針です。
3つ目は ...
あと82%