厳しい状況が続く映画館・ホテル・レストラン コロナ時代を新たな発想で乗り切る
新型コロナウイルスは米経済に引き続き打撃を与えており、なかでも深刻な被害を被っているのが映画館、ホテル、レストラン業界などのBtoC企業である。州により人数制限や営業時間などの条件は異なるが、現在も厳しい規制が続いている。本号では不況に苦しむ各業界が講じている打開策について紹介する。
新たなSNSやテクノロジーなど、米国企業が取り入れ始めている最先端のマーケティング実例をレポートします。
スナップチャットは画像・動画つきメッセージを送ることができる人気アプリだ。受信者がメッセージを開けると10秒以内に消えてしまう、経歴が残らない仕組みが若者層に受けている。
いま現在、アプリのインストール回数は約6000万回で、推定3000万人のアクティブユーザが一日約4億件のメッセージを送付していると言われる。10代から20代のユーザを失いつつあるフェイスブックは昨年、急成長するスナップチャットを30億ドル(約3000億円)で買収を持ちかけたが、断られている。メッセージが手許に残らないのでマーケティング・ツールには不向きと思われたが、実際にはスナップチャットを巧妙に使ったプロモーションを行う企業が増えている。
スナップチャットを使った初めてのプロモーション「16Handles」。店内でフローズンヨーグルトを食べている写真を送ると、割引クーポンがもらえる。クーポン付きメッセージは開けると10秒で消えてしまうため、店での会計時まで開けてはならない。斬新な企画が受け、10代顧客を中心に大ヒットした。
デジタル・トレンドをリポートする「Mashable.com」や「アドエイジ」誌など複数のメディアによると、スナップチャットを使ったキャンペーンを最初に行った企業はニューヨークのフローズン・ヨーグルトチェーン「16 Handles」といわれている。同社コミュニティ・マネジャーのアダム・ブリテン氏は「当社のソーシャルメディア上のファンの多くは10代。フェイスブックやツイッターを見ていると彼らがスナップチャットを頻繁に利用しているのがわかった。それなら『試しに(プロモーションを)やってみよう』ということになった」と経緯を「アドエイジ」誌に述べている。
従来のアナログなプリント媒体のクーポンを好むのは彼らの親世代。ツイッターで同様のクーポンをバラまくことも考えたが「彼ら(10代顧客)にとってスナップチャットの方がよりクール(カッコイイ)」とブリテン氏は説明する。メッセージが残らないデメリットよりも、強いインパクトを与えるメリットの方が大きいと判断した。