主力事業のタイヤ事業の陰に隠れてしまいがちの化工品事業部門で、広報を担う長田真由美さん。グループ内の新会社と本社とをつなぐ立場となった直後、任されたのは「会社案内」の制作だ。文章のライティングはもちろん、関係者を動かすために、言葉の力の重要性を改めて感じたという。
11月中旬に完成したばかりの会社案内。全13ページの紙面で、幅広い化工品の特徴を簡潔に伝える。
売上全体の約8割をタイヤ事業が占める東洋ゴム工業。残り2割を、自動車部品や鉄道部品をはじめ1000種類以上におよぶ化学工業製品(化工品)を製造するダイバーテック事業が占めており、同社の成長を支える重要なパートを担っている。
そうした化工品について技術開発から製造、販売、サービス、管理までを一括する子会社「東洋ゴム化工品」が発足したのは2013年1月のこと。この新会社の営業部門と本社との間をつなぎ、東洋ゴム化工品を化工品事業の中核として効果的に機能させる役割を担うのが、東洋ゴム工業 化工品ビジネスユニットの長田真由美さんだ。新会社発足とともに現職に就くまでは6年間、本社の広報企画部に所属していた。「商品セールスに役立つ社内情報やニュースを集約して営業社員に提供するほか、新会社社内のモチベーション向上につながるような取り組み全般を担当しています。経営トップの意思・メッセージを全社に伝えたり、広範な分野にまたがる製品部門の取り組みを全社に向けて発信したり...。一言で『化工品事業』と言ってもその内容は非常に多岐にわたり、隣の部門が何を作っているのかわからないのが当たり前という状況。横のつながりが極めて希薄なのが大きな課題です。また、売上比率が高いので当然ではありますが、広告やPRでクローズアップされるのはタイヤばかり。世の中のさまざまなシーンで使われる、多種多様な製品を作っているのに、そのことがあまり知られていないのはもったいない。化工品事業の、そして新会社自体の認知度をもっと高めていきたいと考えています」と長田さん。
その思いは、会社としてのミッションとも合致。今後、より広報活動を強化していこうという方針のもと、新しい会社案内を制作するプロジェクトが3月に発足し、広報経験がある長田さんに白羽の矢が立った。これまで製品ごとにバラバラだったカタログを統合し、自社の事業全体を説明することができる一冊を作る。「たとえばグローバルに向けて事業を拡大する際には、自社の事業全体について説明する必要があります。すでに認知のある製品のほかにもどんな製品を扱っているのか、理解していただくことが企業としての信頼につながる。そういう場で使える会社案内を作るのが今回のミッションでした」(長田さん)。