注目しているのは、2013年4月末にローンチした艦隊育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん(艦これ)」です。当初は約2万人のユーザー登録を目指していたそうですが、11月現在の登録ユーザーは100万人、平日のアクティブユーザーは50万人という大人気ゲームになっています。ルールはシンプルで、第2次世界大戦中の日本軍の戦艦を少女に擬人化した「艦娘(かんむす)」を集めて艦隊を組み、戦いをクリアしていくというもの。サーバーが満員になるたびに拡張を繰り返して対応しているのですが、2014年もどこまでユーザー数を伸ばすのか楽しみです。
成功の要因のひとつとして、キャラクターデザインをはじめ、随所に史実や時事に基づくネタが盛り込まれていることがあります。歴史やミリタリーファンがリリース直後からハマり始め、SNSやまとめサイトが大いに盛り上がりました。少数の人がどっぷりとそのコンテンツにハマって騒ぎだし、それがソーシャルメディアによって見える化されて、気づいた周囲の人も一緒になって盛り上がり始め、"うねり"となって広がっていく。我々はこれを「コンテンツ発火モデル」と呼んでいます。
見る人が見れば「もしや!」と気づくフックが散りばめられた、"情報密度"が高いコンテンツは他にもあります。たとえば過去のアニメ作品からの引用がふんだんに盛り込まれたテレビアニメ『キルラキル』もそうですし、実はあの『あまちゃん』も同じ構造です。これらは、過去のアーカイブが多いという点で、ある程度、年齢層が高い人たちがハマる可能性が高い。こうしたコンテンツが支持される傾向は、2014年も続くのではないでしょうか。
佐藤誠一博報堂 コンテンツビジネスラボ |