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私の広告観

広告のお仕事に呼ばれたら、きちんと「おつとめ」を返せるような存在でありたい。

壇蜜

グラビアモデルから、映画、ドラマ、バラエティ番組と活躍の場を広げ続けている壇蜜さん。ラジオの冠番組では“お耳の愛人”でありたいと語る彼女に、「自分の言葉で伝えること」へのこだわりを聞きました。

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壇蜜(だんみつ)
1980年秋田県生まれ。フィットワン所属。多彩な経歴を経て、『週刊SPA!』の一般公募型グラビア企画「美女タレント発掘プロジェクト どるばこ」でグラビアモデルデビュー。映画『私の奴隷になりなさい』『甘い鞭』ほか、テレビのバラエティ番組へ数多く出演し、『だんくぼ、彩』(テレビ朝日/毎週火曜深夜1:21~)にはレギュラー出演中。大ヒットドラマ『半沢直樹』にも出演した。『東京ウォーカー』「壇蜜の東京迷い蜜」、『MEN'S CLUB』「壇蜜の吐息」など、幅広い雑誌に連載を持つ。文化放送『壇蜜の耳蜜』(毎週月曜19:30~20:00)ではラジオパーソナリティーも務める。
オフィシャルブログ「黒髪の白拍子」http://ameblo.jp/sizuka-ryu/

テレビや雑誌、最近では広告など、声をかけていただくジャンルが増えたことを、とても光栄なことに感じています。いわゆる従来からの“壇蜜”のイメージとのバランスを保つことに難しさを感じるケースも出てきているのですが、そうした中でも皆さんにとって、そして私自身にとって納得できる見せ方があると思っています。「広告のお仕事が欲しいからヌードはやらない」ということはなく、ヌードをやってもお呼びいただけるなら、その企画を盛り上げるお手伝いを粛々とさせていただきたい、という気持ちです。グラビアの世界には愛着があるのですが、それを良しとしない方もたくさんいらっしゃることを理解した上で、自分の考え方や言動に責任を持たなければという思いも強くなってきました。

一緒にお仕事をさせていただく企業や広告会社、メディアの方は、皆さん「こうしたい」という強い思いをお持ちですから、それを汲み取ることが私の一番の仕事だと思っています。広告もテレビ番組も、そこに関わる方たちが何を求めているのかを聞かずして、人前に立つことは許されないと思うんです。特に広告では、自分が使ったことがないものをPRするのは不安ですので、当たり前かもしれませんが、商品を見てみる、使ってみるということは忘れずにやりたいと思っています。

先日、とある商品の広告に出演させていただいた時も、起用が決まった際にいただいた商品を1~2カ月使っていました。いざ迎えた撮影日、企業の方は商品のPRポイントをまとめたシートや台本を作ってきてくださったのですが、「自分が使ってみた感想を、自分の言葉で話しても大丈夫ですか?」と伺ったところ、とても喜んでくださって。それがすごく嬉しかったんです。10あるうちの7つくらいしかPRできていないかもしれないのですが、朝起きてから夜寝るまで付き合った商品だったので、それをすごく身近に感じていることをお伝えできていたらいいなと思っています。つかえても、拙くても、WEBや店頭では全編公開していただくようなので、恥ずかしいのですが...(笑)。

広告の商品を買って喜ぶ方と、私のグラビアを見て喜んでくださる方は必ずしも合致しない。ただ、まったくの別環境にいるわけではありませんから、多少なりともその2つの円が重なり合って、商品や企業を盛り上げることができたら嬉しいですね。贅沢なお話ですけど...。お呼びいただいたら、きちんと“おつとめ”を返せるような存在でありたい。代打であれ、指名打者であれ、しっかり返すことができるのは、日々の鍛錬の結果。だからこそ、置かれたところでしっかりと咲いていなければと思うんです。

ありのままの壇蜜で楽しんで

デビュー当時から続けているブログは、一日一回更新しています。般若心経ではありませんが、毎日の“おつとめ”のようなものなんです。祖母が昔、毎日仏壇の前に座ってお経を唱えるのを見ていたことも影響していると思うのですが、毎日必ずできることを自分で決めて実行していると、一日一日をしっかり生きているという気がして。お風呂に入ったり、ごはんを食べたりといった生理的なことではなくて、自分だけが決めていることを一日一回必ずする、ということに意義を感じるんです。神さまと言うと大げさなのですが、そういう人智を超えた存在が常に自分たちを見ている、という感覚が小さい頃からあって。一日の終わりをブログで締めくくることを通して、毎日をきちんと過ごすことを大切にしています。

ブログのIDは、本名のshizukaなんです。シズカの気持ちで綴った言葉と、壇蜜の目で切り取った写真が、良い意味で同居している気がします。私がブログを書く時には、いくつか約束事があります。(1)一日一回更新する、(2)番宣を含め、目立った広告・PRはしない、(3)具体的な商品名を書かない、(4)他人の顔がはっきり分かる写真は載せない――そこに存在しているだけで、さまざまな人がいろいろな感情を持つということがわかってきましたから、壇蜜として仕事をしていくうちに、活動の幅を広げるうちに、誰かを傷つけるようなことはしたくない。そのような思いから、ルールを設けて更新を続けています。

自分のことを良からず思っている人がいることを、認識しているのとしていないのとでは大きな差があると思うんです。事実を受け入れながらも、無関心にならないことで、また違った言葉の紡ぎ方ができるような気がします。私とファンの方との大事な接点として責任を持って使いたいので、フェイスブックやツイッター、LINEはやらず、ブログ一本に絞っています...という名の面倒くさがり屋なんですが(笑)。

ブログでは、自分の日々の“おつとめ”を公開して、それを見た人にクスリと笑ってもらえたら嬉しい。壇蜜のありのままの日常に寄り添って、楽しんでいただきたいという思いが根底にあります。

自分の代わりはおそらくどこかにいて、自分もまた誰かの代わり。それを悲しむことなく、今与えられたお仕事に粛々と向き合うこと。流行れば廃るということ、あるべきところに帰る時がくるというのも知った上で、今ここにいる私の姿を見ていただけたら嬉しいですね。

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ブログでは週に一度、「週末のおてがみ」として、手書きの手紙の写真を掲載している。「以前は週に一度『週末のおつとめ』と題した20秒くらいの動画を投稿していたのですが、昨年4月に動画投稿機能がなくなってしまって。代わりに始めました。週に1回、何かデジタル文字以外で伝えられることを。手作りで、写真を使うもので、週1回続けられるものをと考えて、お手紙にたどり着きました」(壇蜜さん)。

持てるものしか持たない意識

そんな、読んでくださる方との距離の近さがブログの魅力ですが、それと同じか、あるいはそれ以上に相手との距離が近いのがラジオですよね。リスナーの方との距離の近さが、テレビや雑誌とは一味違う魅力であり、また他にない難しさだと感じています。

今やらせていただいているラジオのお仕事は、提案いただいた企画にそのまま乗ったわけではありませんでした。当初の提案は、私がメディアに出始めた時のイメージをそのままラジオに反映したような内容だったんです。たとえば、絵本をセクシーに読むとか...。テレビのバラエティ番組の世界では良いのですが、耳と口が近いラジオの企画としてはふさわしくない。私自身、もともと大のラジオ好きでしたので、「自分の名前が呼ばれると嬉しい」というラジオならではの感覚を味わえる番組にできればと考えています。最近起こった出来事を私自身の言葉で一人のリスナーに話しかける。そういう“狭さ”を、大事にしていきたいです。

「この人」という個人に対して話しかけるラジオというメディアは、この番組を好きで聴いてくれている方々の「好き」にしっかりと触れていなければなりません。自分の言葉でしっかり話さなければならず、その上で真にリスナーに支持されなければやっていけないという、敷居の高い世界だなと感じます。ラジオリスナーの方は、ネットで発言したり反応したりする人が少ないので、そういう“無言の支持層”に対して働き掛ける手段があったらなと、時々思います。

ブログ、テレビ、雑誌、ラジオ...メディアでは、自分の意見を発信しないと内容が薄いものになってしまうと思われがち。特にテレビでは、演出の都合上、言葉少なに語ることを良しとしない文化があるように思うのですが、自分の意見だけをつらつら述べるより、事実を言った上で、最後に少し自分の意見を加えるくらいのほうが、短いながらもよく伝わる気がします。事実を淡々と述べて、最後に自分が感じたことを限られた字数・秒数で語るという試練を日頃から自分に課していて、ブログでもテレビでも字数・口数にこだわり過ぎないということを、自分の中の約束事にしています。

「できればこんな話を...」といただいた要望を、「ここを伝えたいなら、ここはカットしたほうがいい」と、結構な分量を削らせていただくこともあります。無理に詰め込むことで、逆に見る人を不快にさせてしまう気がして。身の丈に合わない大荷物を抱え込むことなく、自分が持てる分だけ持つ。等身大のことを、等身大の言葉でお伝えしていきたいと思っているんです。

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折込チラシが大好きという壇蜜さん。「広告というと、真っ先にスーパーのチラシが頭に浮かびます。チラシをついつい見てしまう心理って、結構多くの人にあるんじゃないでしょうか。あの何とも言えない“まぬけ感”がいい。完璧なものに対してコンプレックスを感じる傾向が強い時代。どこか抜けている・欠けているということを“おかしみ”に感じてもらうくらいが、ちょうどいいのかもしれませんね」(壇蜜さん)。

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