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現代 宣伝・広告の実務

基本からわかる、「DMP」運用のための3ステップ

柴田貞規(博報堂DYメディアパートナーズ データマネジメントプラットフォーム部長)

多くの企業にとっては、自社のマーケティング活動の基礎となる大量のデータをDMPに蓄積していくことは、将来を見据えた新しい取り組みであることは間違いない。ここでは基本と利用方法について解説していきたい。

将来を見据えたDMP構築

今年度に入ってから、広告主・媒体社・広告会社などの担当者からよく発信されているキーワードの一つがData Management Platform(以下DMP)だ。今回はこのDMPについて、いくつかのポイントに整理してお伝えしたい。

当然ではあるがDMPを導入すること自体がゴールではなく、「企業のどういう課題に対しての解決になるのか?どういう成果が予想されるのか?」という本質的なことを議論しないとまったく意味がないままに終わってしまう。また、導入にあたっては単なるテクノロジーや広告配信の視点だけではなく、マーケティングの視点を持つことが大切である。

企業がまず検討しているのは「プライベートDMP」と呼ばれるものだろう。これは、DMPをCRM(Customer Relatiohship Management)の一貫と捉える考え方であるため、従来からある顧客向けの活動をサポートするものとしての活用になる。具体的には、これにより従来のCRMツールだけでは取得できなかった、既存顧客の行動データやソーシャルデータをすでにあるCRMの仕組みに取り込み、顧客のセグメントの見直しを行い、そのセグメントにしたがって広告クリエイティブを制作し、広告を配信することができるようになる。

さらには、企業のWEBサイトに表示するコンテンツをDMPを使って作成したセグメントごとや顧客の行動シナリオごとに変えるといった使い方もある。

いずれの方法も「企業にとっての現在の顧客」の一層のアクティブ化・収益化に貢献するものといえるだろう。

企業が導入を検討しているもう1つは広告会社が運用するDMPである。博報堂DYグループは、「Audience-One(オーディエンスワン)」というDMPを持っている。広告会社が運用するDMPの特徴は、企業が単独では集めることができないデータを持っているということである。

たとえば、Audience-Oneは2億以上のオーディエンスデータを持っており、それを独自にセグメントしサービスとして提供しているし、購買データも蓄積することになっている。これら大量のデータを1つの企業が購入するのは莫大な費用もかかるし、そもそも購入する価値があるか判断するのは非常に難しい。

データに関わるテクノロジーやハードウエア、またデータを利用したソリューションがそれぞれ進化したことで、データそのものが改めて注目されている。従来から顧客分析を大量のデータを使って実行している企業にとっては、何が新しいのか全く意味不明という状態なのかもしれない。

しかし、多くの企業にとっては、自社のマーケティング活動の基礎となる大量のデータをDMPに蓄積していくことは、将来を見据えた新しい取り組みであることは間違いないだろう。

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