エンドユーザーとの接点となる、パッケージ、店頭POPを含めた売場丸ごとの提案を実施している。
約70%の消費者が悩んでいた
大阪市を拠点とするレッグウエア専門メーカーの岡本は、法人設立65周年を迎えた。有名ブランドのライセンス商品のほか、SUPER SOX(スーパー ソックス)、CROSSPRO、one tenth、はくらくなどの自社ブランドを展開している。
90年代、国内の靴下市場は中国産の安価な輸入商品が大量に流入し、価格競争に敗れたメーカーが後を絶たなかった。代表取締役社長の岡本哲治氏は、価格だけで勝負するのではなく、商品の差別化によって新しい市場を開拓する方針を打ち出した。
差別化と言っても、靴下の特性上、価格やデザイン、素材など勝負どころは絞られる。ルーズソックスやスニーカーソックスといった流行が生まれたが、靴下はファッションの中心的存在にはなりにくい。「流行を追うのではなく、長く履き続けてもらえる商品を開発したい」との思いから、調査や研究を重ねるうちに、消費者のある悩みが浮かび上がってきた。それはにおいである。
足がムレて靴下のにおいが気になる経験は誰にでもある。岡本が実施したアンケート調査によると、実に約70%の消費者が靴下のムレやにおいに悩んでいた。この悩みを解消するために開発したのが、ムレない、におわない靴下のSUPER SOXである。
人は1日に両足でコップ1杯分(200ml)もの汗をかくという。そのため、靴内は高温多湿となり、足の皮膚の常在菌が繁殖して悪臭を放つ。細菌の繁殖を抑えるには靴内の湿気対策が鍵となるため、吸湿性に優れた天然ウールに着目した。しかし、ウール繊維は傷みやすいのが難点。吸湿性を生かした強い特別な繊維をつくる技術が必要だった。
約6年かけて完成したSUPER SOXの素材 BREATHE FIBER(ブリーズ ファイバー)は、吸湿性と放湿性を持ち、長時間履いてもサラサラの履き心地を維持する。ウール繊維で気になる毛玉もできにくく、縮みにくい特性も備えた。