日本コカ・コーラ、新社屋からブランド資産を発信 「サステナビリティへの強い決意」示す
7月29日、日本コカ・コーラは渋谷区の新社屋でティム・ブレット社長による会見を開催。環境や社会と深く関わるサステナビリティ(持続可能性)への強いコミットを宣言している。同社の企業広報を統括する後藤由美副社長が考える、経営戦略における広報の役割とは。
企業価値を左右する「経営と広報」の一体化
1999年から、いち早くコーポレートガバナンスの強化に取り組んできた帝人。2014年のトップ就任以来、「構造改革」を掲げている鈴木純社長の広報観とは。
─2013年から、広報活動を担う部門を拡充して「コーポレートコミュニケーション部」としました。
経営において広報は非常に重要な機能だと考えています。特に凄いなと感じたのは、前社長から私にトップが交代したとき。初めて交代を発表する記者会見に始まり、半年かけて新社長インタビューの取材が続きました。コーポレートコミュニケーション部がいろいろと企画してくれて、映画のロードショーみたいな感じでしたよ(笑)。季刊の社内報でも新社長の特集を組んで、関係先に配ったところ評判が良かったです。私自身の人となりが社内外に伝わる特集になっていて、主要なステークホルダーに理解していただく最初の一歩として非常に良い出来栄えでした。
組織としては、2012年に広報とIRを切り離し、2013年からはショールームやCSRコミュニケーションなどを入れてコーポレートコミュニケーション部という形に変わりました。ただ、株主やアナリスト向けのIRと、幅広いステークホルダーを対象としたコーポレートコミュニケーションとの連携は非常に重要だと思っています。
その中で新たな施策の一つが、2015年にスタートした「統合報告書」の発行です。財務情報とCSRなどを含む非財務情報をまとめました。統合報告書は対ステークホルダーとのコミュニケーションでは一番の「顔」になるものです。
─日本IR協議会の調査によると、統合報告書を発行している企業は1割程度(日本IR協議会 2015年度「IR活動の実態調査」)。発行後の手応えはいかがですか。
その数字を聞くと、思っている以上に少ないですね。帝人もそれまでは財務情報のアニュアルレポートと非財務情報のCSR報告書をそれぞれ発行していました。ただ世の中のニーズとしてESG(環境・社会・ガバナンス)が重視されている今、財務情報と非財務情報は統合していく方向だと考えたのです。最初に財務以外の観点から会社の方向性を語らないとステークホルダーの皆さんに理解をいただくのは難しいのでは、という思いもありました。
そう考えると統合報告書の発行は必然の流れだし、おかげさまで高い評価をいただいています。ただ、制作にあたっては何に主眼を置くかという点が非常に難しいですよ。帝人は古くから、環境経営やダイバーシティの推進に取り組んできたこともあり、世の中のニーズを踏まえると最適なタイミングだったのではと思います。
─社外有識者を招いたアドバイザリー・ボードを設置したのは1999年。いち早くコーポレートガバナンスの強化にも取り組まれています。
帝人は早くから取り組んできたこともあり ...