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愉快犯か本気か、ネットの犯行予告にどう対応する?

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする​炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

​2016年3月、ネット上で複数の市役所などに爆破予告をしていたと見られる20歳の男が逮捕された。警察が自宅に来る様子などもリアルタイムでツイートしており、その愉快犯的な行動が注目された。

事件は今年2月、千葉県松戸市役所に「爆発物を仕掛けさせてい​ただきました」などと書いたメールを送信した容疑で逮捕されたもの。男はメール送信後、自ら警察に出頭し、PCなどが押収されたものの逮捕に至らず、様々なメディアにも自らの犯行をアピールしながら、その様子をツイートし続けていた。その人物が別件の窃盗罪で逮捕され、爆破予告との関連で3月に再逮捕された。未だ全容は明らかになっていないが、6月の公判の段階ではその他複数の爆破予告にも関与が疑われている。​

ネット上の犯行予告は後を絶たない。今年5月だけでも、関西学院大、立命館大、阪急電鉄、JR東日本、西宮市、岸和田市、函館市、柏市、厚木市、松戸市、東京都港区などに爆発予告があった。

わずか1カ月の間にである。​広報的な視点で注目したいのは、その対応にも大きな差があることだ。休校や閉鎖の措置をとる場合もあれば、警察に届けニュースにもなったが活動は平常通りというところもあった。大阪府岸和田市は保育園や小中学校を含む市の施設約100カ所を閉鎖し注目された。東京都港区内の小学校では、保護者と生徒に連絡しつつ通常授業が行われ、ニュースとしても出なかった。もしも自分たちの組織に対する犯行予告がなされた時、一体どんなことに注意すべきだろうか。

関係者に注意喚起を

犯行予告はメールで送られてくるものや掲示板やTwitter上の書き込みなど様々で、多くは反応を見て楽しむだけの愉快犯と考えられ、また予告に使われるメッセージも冒頭の事件を模倣する文面などが目立つ。しかし、各現場では万一のことがあってはならないと対策を取ることも多い。

「爆破予告」でニュース検索すると、日常的とも言えるほど頻繁に起きていることに驚かされる。実際にはさらに多いのだろう。ニュースの多くは、対策の発表、警察発表、ネットでの騒ぎがきっかけになっている。広報としてはまず、関係者に対して確実に情報を共有し注意を促すことを意識しておきたい。その情報を踏まえて個人がそれぞれ判断して行動を決められるようにすることが重要だ。

騒ぎが大きくなる前に

ネット上の犯行予告は一見してイタズラのようなものも多いが、かと言ってイタズラであることを即座に確認することは難しい。つまりクリアな広報メッセージを出しにくいのだ。​

一方で、騒ぎが大きくなっているのにまったく情報発信がないと、強い不信感を生む。いざ自分の地元や子供の通う学校をターゲットにされた犯行予告があったとなると、たとえイタズラのように見えても内心穏やかではいられない。そんな時に情報発信がないことが、すなわち何も対策していないように見られることを意識したほうがいいだろう。騒ぎが大きくなる前に、安全確保に向けて対応を始めていることだけでも伝えたい。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会前理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用のプロジェクトに取り組む。著書は『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか35万部超のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。
公式サイトはhttp://tsuruno.net

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