自然災害による被災の当事者として広報する際のポイント
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震によって、多くの死傷者や家屋の倒壊などの被害が生じました。1月8日には石川県小松市を創業の地とするコマツが義援金総額6億円(石川県5億円、富山県1億円)の緊急支援や、被災地の要請に沿った形で機材を無償貸与することを決定するなど、企業各社が復興に向けて支援する態度を明らかにしています。今回は、震災など自然災害の被害にあったときに広報する際のポイントを解説します。
リスク広報最前線
複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
コーポレートガバナンスへの株主の目は、ここ数年でさらに厳しいものになっている。いかに投資家の疑問に答え、透明性の高い情報開示ができるか。広報の役割は大きいといえよう。
6月は定時株主総会が集中するシーズンです。今年の定時株主総会はこれまで以上に取締役ら経営陣が株主に対する説明責任の「質」を問われたように思います。例えば、川崎汽船は株主からROE(株主資本利益率)の低迷や企業価値の毀損を問われ、代表取締役社長の重任に賛成する比率は前年よりも30%程度低下し約57%に留まりました。また三菱自動車工業の株主総会では、益子修会長兼社長に燃費不正の責任を求める声が強まり、再任に賛成する比率は前年より20%以上低下。約76%に留まりました。
2015年までも取締役ら経営陣は、株主に対し説明義務に基づく説明を求められていました。しかし2016年の定時総会の結果を見ると、もはや単に義務の範囲内で最低限の説明をしていればよいという時代ではなくなったと言っていいでしょう。株主が求めている根本的な要求に応え、株主が納得して賛成票を投じる程度の必要十分な「質」を伴った説明をしなければならなくなったのです。「質」を伴った説明により株主に理解してもらう。この一連の流れは …