解説に続いて、井上岳久氏が代表を務めるカレー総合研究所の事例を紹介。「ご当地レトルトカレー」を切り口に、地方創生に寄与する内容となっています。
今回、紹介するのは今年1月に配信した「ご当地レトルトカレーランキング10発表」です。このリリースは1月22日にカレー総合研究所が主催した「カレー大賞2016」の会場で配布するために作成しました。「カレー大賞」はカレーの分野で活躍した企業を顕彰するイベントで、ハウス食品やヱスビー食品などの大手メーカー、「シャリカレー」が話題となった「くら寿司」など多くの企業が参加し、その一つの話題として、このリリースを提供したのです。
「ご当地レトルトカレー」と呼ばれるものは全国に2000種類あるといわれます。私のところにも「おすすめを教えてほしい」という問い合わせがたくさん来ますが、なかなか答えられないのが実状でした。販売サイトや雑誌の特集などでランキングが掲載されることもありますが、それぞれ主観で選んでいるためか、見事に結果が異なっています。それならきちんと調査をして客観的なランキングをつくろうと思い立ったのが発端でした。
「味」以外の要素も数値化
1次審査はカレー総研の市民講座である「カレー大學」の卒業生からおすすめのご当地レトルトカレーを募集することから始めました。カレーについて学んだ、いわばカレーのプロが抽出したデータで、約1000品が挙がりました。2次審査は独自に5つの定義をつくり、当てはまるものを選定。ご当地性をうたっていても大手メーカーが製造販売しているものは除外しました。売れないとすぐ製造を止めてしまうものも多いため、おおむね5年以上は販売実績があるものに限るなどしたところ、約100品に絞られました。
3次審査は実際に購入してみて、販売の可能性を確認。一般的には購入できないものなどもあり、50品に絞ります。4次で、いよいよ試食審査です。私やカレーに詳しいタレントの松尾貴史さん、カレー研究家など10人が実際に食べてみて、ファイナリストの25品を選抜します。そして最終の5次では、各メーカーに電話をし、販売実績や受賞歴などを調査。他メディアのランキングも参照し、すべてを得点化して明快なランキングを決定しました。
従来は「味で決めた」というランキングが多かったのですが ...