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暴言を繰り返す匿名Twitterアカウント 社員のものだったら?

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

暴言の匿名Twitter、社員だったら?
罵詈雑言を繰り返す匿名のTwitterアカウントがあり、他のユーザーが過去のツイートから身元を特定した。それが新潟日報の報道部長だったことで、大きな騒動になった。

個人のツイートが組織の問題に

2015年11月、「うるせーな、ハゲ」「クソ馬鹿やろう」などと罵倒を続けていたTwitterの匿名アカウントが、新潟日報という報道機関の、しかも管理職だったと判明し衝撃を与えた。

発覚後、報道部長の職は解かれ、数日のうちに無期限懲戒休職という処分に。新潟日報には連日「仕事にならないほど」の苦情が寄せられたという。単なる「個人の不祥事」では済まされない「組織の問題」に見られたということだろう。実名か匿名かによらず、Twitterの問題発言での失職は、今や珍しいことではない。

例えば2015年4月には、米バスケットボールチームのデジタルコミュニケーション担当マネジャーが、敵対チームを「口撃」すべく、公式アカウントで銃殺をイメージさせるツイートをして問題に。2013年12月には、米大手メディアの管理職が南アフリカに旅行する際、自らの個人アカウントで「アフリカに行きます。エイズに罹らないといいけど。冗談よ。私は白人だから」とツイートしたりと、海外でも似たような問題が起きている。

尚、これらは、たった1回のツイートを理由に解雇された例だ。今回の事件も海外なら、そして今後国内でもおそらく即解雇に相当する内容だろう。

組織の見解に共通点

こうした処分を発表する際の「組織の見解」に注目したい。多くの場合、「発信された発言や行為自体が、組織として容認できない」という意味の表現が用いられているのだ。つまり、処分が手ぬるいと見られることが、組織のさらなる信頼失墜につながると認識されていることを示している。

解雇の理由には、「機密漏えい」「差別主義の発言」「公式アカウントで暴言」「社会通念上許されない行為や発言」「告発で明らかとなった問題行為」などが見られる。とりわけ差別主義の発言には容赦ない対応が増えている。雇用契約や社内規定などの問題はあるが、組織としては今後、日本でも同様の対応を取らざるを得なくなるだろう。

越えてはならない一線を確認せよ

「どこを踏み越えれば言語道断でアウトか」を組織の中であらかじめ確認しておく必要がある。「するはずがない」「わざわざ言わなくても常識で分かるだろう」とタブーを言語化しないのは、組織の詰めの甘さであり、スタッフを不用意に危険にさらす行為でもある。

ソーシャルメディアでは、発信するコンテンツに反応してほしいばかりに、見る人の感情を刺激する表現が選ばれやすい。性質的に賛否両論ある内容が多くなり、表現も過激化しやすい。テレビに放送禁止用語があるように、ネットでも越えてはいけない一線を明示しておくことがスタッフや組織の信頼を守る重要な備えでもある。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組みづくりに取り組む。著書は『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか30万部超のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。
公式サイトは http://tsuruno.net
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