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米国PRのパラダイムシフト

広告とPRの境界線が見えなくなる?2016年のグローバルPR、3つの注目トレンドを大予測

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

近年、グローバルPRの世界では、メディアの世界の勢力図が塗り替わるのと同時に、企業や組織のコミュニケーションの最も重要な手段として、PRへの関心がますます高まっている。本誌で「米国PRのパラダイムシフト」を連載中の岡本純子氏が、2016年のトレンドを予測する。

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広告ではなく「ニュース」を生んだ 「Subservient Chicken」
バーガーキングは2004年、ネット上でユーザーの指示によってキャラクターのニワトリが動きを変える、という「Subservient Chicken(従順なニワトリ)」キャンペーンを実施。2014年にも新商品を宣伝するために、このキャラクターを10年ぶりに復活させ、Twitter上で「Subservient Chicken」を懐古する写真を投稿したり、新聞広告で目撃情報を求めるキャンペーンを行った。

人々は広告に興味がない

皆さんあけましておめでとうございます。2015年の2月号で広報会議にデビューさせていただいてから丸一年。グローバルPRの息吹をお伝えしたいと書きつづってきました。とはいえ、海外と日本とはかなりの温度差。「どこまで皆さんに関心を持っていただけるか」と悩みつつも、これからも、少しでも身近で役に立つ情報を世界から拾っていきたいと思っています。どうか今年もよろしくお願いします。

というわけで初春号の今回は、年明け恒例の「PRのグローバルトレンド予測」2016年バージョンをお届けします。今回は、筆者の「希望的観測」もたっぷり織り込んで、大胆に占ってみました!

「戦いは終わった。PRが勝ったのだ」。

2015年10月、PR業界のイベントで舞台上に立って、声高らかに宣言したのは、アメリカでも有数の広告会社Crispin Porter+Bogusky(CP+B)(クリスピン ポーター ボガスキー)の創業者であり、会長のチャック・ポーター氏。同社はコカ・コーラ、マイクロソフトなど多くの有名企業の広告を手がけ、その先鋭的なバイラル・マーケティングの手法で知られている。マスメディアの衰退、ソーシャルメディアの台頭など、情報流通チャネルの大きな変化により、従来のような一方通行型の広告は効きにくくなっている。そんな中で、同社は「伝統的な広告会社ではなく、PR会社のように考えよう」というスタンスで、革新的なキャンペーンを次々と生み出してきた。

例えば、2004年のバーガーキングのSubservient Chicken(従順なニワトリ)キャンペーン。ネット上でユーザーの指示によってキャラクターのニワトリが動きを変える、という当時としては斬新な、インタラクティブな趣向で大きな反響を呼んだ。ポーター氏は「我々は常にニュースをつくろうとしてきた。人々はニュースに興味があり、広告には興味がないのだ」と言い切る。だから、そのキャンペーンがニュースになるかどうかを見るために、「仮想のプレスリリース」までつくってその価値を見極めるのだそうだ。

このエピソードが物語るのは、まさにコミュニケーション業界のパラダイムシフト。その流れはどうなるのか。2016年のトレンドの3つのポイントを見てみよう。

トレンド1
PRの境界線はますます見えなくなる

PRと広告。広告会社傘下のPR会社に在籍していた当時に筆者が散々感じた、広告に対するPRの「複雑な思い」。「お金持ちの隣人」の横で、「実力はこちらもあるのに」と歯噛みするような妬みと優越感の入り混じった感情がなかったかと言えば嘘になる。実は、そういう意識はPR先進国、アメリカでも根強いものらしい。2015年10月に来日した、米国のPRプロフェッショナル向け専門誌『PR WEEK』のSteve Barrett編集長も「PRは、広告への劣等感を捨てるべき」と発言していた。

アメリカでも歴史的に見れば、PRは広告業界に比べると圧倒的に規模が小さく、割かれる予算もケタ違い。そうした「地味な」存在だったPRが、メディアの地殻変動とともに、その価値を見直され、一躍脚光を浴びている。

なぜ、PRが企業のコミュニケーション活動の柱となるべきなのか。それは、PRプロフェッショナルの持つストーリー構築力、ストーリーテリング力、ニュースの目利き力、メディアに対する知見がコミュニケーションの中核となる重要な要素であるからだ。

また、特にソーシャルメディア時代に必須の「社会との対話力」。これはまさにPRの本質だ。つまり、ソーシャル時代の今こそ、PRの力に気付き、活かしていくべきである、という考え方なのだ。

ポーター氏の発言は、本人ではなく、「お隣さん」がPRの凄さに気付き、その領域に入り、力を上げている、ということを意味する。一方で、日本のPRパーソンは …

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