「掲載された記事をHPに載せても大丈夫?」「クリッピング会社に頼むメリットは?」著作権の問題はグレーゾーンが多く、判断に迷うケースも多いのではないでしょうか。編集部に寄せられた疑問について、報道記事の著作権に詳しい専門家が解説します。
※編集部調査(2015年9月実施)で実際に寄せられた質問をもとに作成

社内で共有・活用したい!
Q.新聞記事を営業資料に使いたい。
取引先へのプレゼン、提案資料としての活用などクローズドな場での活用ならOKですか(シンクタンク)
A.クローズドかオープンか、という基準では判断できません。家庭内のみで利用する「私的使用」ではなく、営業の現場で使う材料にするのであれば、許諾を得ない複製などは著作権の侵害となります。
Q.報道記事を使って、社内でもっと情報共有したい。コピーやスキャンしたデータを回覧したら著作権の侵害になるのでしょうか?(人材派遣)
A.著作権者以外が、著作権者の許諾を得ることなくコピーやスキャンしたデータを回覧することは、明らかに著作権の侵害となります。著作権法第21条に「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する」、また第63条に「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる」となっています。
Q.クリッピング会社から送られてくる記事はどこまで使用権利があるのか、よく分かりません(電機・精密機器)
A.新聞・雑誌記事の原紙を切り抜いて送られてくる場合は、そのままを社内で回覧することが可能です。コピー回覧や社内イントラネットに掲載する場合は、著作権者の許諾を得なければなりません。
クリッピング会社からコピー、FAX、PDFなどで納品されている場合は、その作業段階で複製許諾を得ているか確認することをお勧めします。許諾を得ていれば、社内回覧は問題ありません。
ただし、その納品物をさらに複製する場合は、クリッピング会社との利用規約に違反しないか、さらなる複製の許諾も得ているか、が可否判断のポイントになります。
Q.新聞記事を社内報や社内イントラネット、メーリングリストなどで流したい。あくまで内々で展開する分にはOKでしょうか(食品)
A.社内報、社内イントラネット、メーリングリストなど一見「内々」と思われているものでも、許諾を得ずに複製・掲載するのは著作権侵害となります。家庭内のみで利用する「私的使用」や、立法・行政の目的に必要と認められる内部資料の範囲を超えているからです。
Q.報道記事や映像は、メディアにとって貴重な資産・商品であり、二次利用に費用が伴うことは広報として十分理解しています。そのことを社内に十分理解してもらうために、コンプライアンスの観点から、どんな風に説明したらよいでしょうか?(家具・日用品)
A.貴社の知的財産、たとえば特許や商標が無断利用された場合のダメージを想像してみてください。報道機関にとっても ...