7月23日、日経による英フィナンシャル・タイムズの買収─。このトップニュースは英国ではどのように報じられたのか。在英ジャーナリストの小林恭子氏が現地からレポートする。
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英国では大衆紙と呼ばれる、ゴシップやスキャンダル記事、ヒューマンストーリーを分かりやすい英語で書いた新聞が100万部単位で読まれている。国民の大部分にとっては、FTとは自分が実際には読んだことがない、手に取ったことはない新聞だが、ピンク色の高級経済紙である、ということだけは知識として知っている。
日経の英国での知名度は低い
7月23日、日本経済新聞社は、英出版大手ピアソンが所有するフィナンシャル・タイムズ(FT)・グループを買収すると発表し、多くの人を驚かせた。FTグループは世界的に著名な経済紙FTを発行する。日本の新聞社が外国の大手紙を買収する、しかも英語圏では米ウォール・ストリート・ジャーナルと双璧をなすほど影響力が高い新聞を手中に入れるのは、日本の新聞業界にとって画期的な出来事だ。日本の新聞史に残る快挙と言えるだろう。
日経関係者及びFTグループにとっても、買収話の合意は寝耳に水の出来事だったようだ。FT自身が発表の直前まで、ドイツの新聞大手アクセル・シュプリンガー社が有力候補として動いていることを報じていたからだ。
英国内での反応を見てみると …
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