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Twitter公式アカウントからの意図しないツイート 広報はどう対応するべきか

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

兵庫県西宮市の公式Twitterから意図しないツイートが発信され、アカウントの乗っ取りかと騒ぎになったが、その後、担当者の家族によるスマホのゲームアプリの利用が原因だったと判明した。

意図しないツイート

6月中旬、西宮市はTwitterの公式アカウントから「【緊急速報】我がサークルの姫、心なしか可愛くなった件」という本文と、ゲームアプリをダウンロードするアドレスなどが書かれたツイートが投稿されたことから、注意を呼びかけた。さらに「意図しないツイート」という表現を用いたタイトルで「何者かが不正にログインパスワードを取得したものと考えられる」と発表した。

これに対してゲームアプリの開発者が公式アカウントにTwitterで「アプリの開発者ですが、ウイルスみたいな扱いに大変遺憾です」などと訴え、そのやり取りが注目された。

西宮市の誤解だった

西宮市は当初、公式アカウントのパスワード管理者を広報課員5人と見てこのゲームアプリを使った職員がいなかったことから、内部の問題ではないというスタンスをとった。しかし調査を進める中で、過去にアクセス権限を持っていた職員も含めて実際には15人が投稿可能だったと判明。うち1人の家族がスマホでアプリを操作し、そこからツイートが配信されたことが分かった。市はこの情報を第二報としてリリースにまとめて発表した。

ヒューマンエラーを前提に

公式アカウントからの「意図しないツイート」は、組織の種類を問わず起きている。有名人や有名ブランドでは乗っ取りも起きてはいるが、アカウントを間違えた誤爆や連動アプリからの投稿など内部のヒューマンエラーが圧倒的に多い。今回のように5人での管理と考えられていたアカウントが、実は15人にアクセス権限があったと判明したこともまた「管理の落ち度」というヒューマンエラーである。

これは個人のスマホなどを業務で利用するBYOD*1が進むと、ますます管理が難しくなることを示唆している。ヒューマンエラーは起きることを前提として考えるべきだ。

フォローも下手だった

「何者かが不正にログインパスワードを取得したものと考えられる」と述べた第一報に対し、事実の判明後に配信されたリリースは、「各方面にご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と述べているものの、あっさりしたものだった。アプリの開発者は、アプリの自動ツイート機能が原因と報じられたことを問題視し、「知らない間にツイートされることはありません。ツイートでシェアをするときは『する』か『しない』か毎回聞かれます 毎回聞かれるんですよ」と自らのツイートで述べている。

誤解で乗っ取りだと騒ぎを起こし、管理の甘さを露呈した西宮市の広報。フォローももう少し丁寧にできたのではないか。後味の悪さだけが残る。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組みづくりに取り組む。著書は『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか30万部超のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。
公式サイトは http://tsuruno.net

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