地域を活性化させるプロジェクトに携わる筆者が、リレー形式で登場する本シリーズ。今回から、石川県の市役所職員という立場で限界集落を活性化させた高野誠鮮さんが登場。予算ゼロから取り組んだPR施策や販売戦略を分析し、紹介していきます。
予算ゼロで市の活性化
はじめまして。今回から5回、このコーナーを担当することになりました石川県羽咋(はくい)市文化財室の室長を務める高野誠鮮です。私は総務省の大臣委嘱地域力創造アドバイザー、日蓮宗の僧侶、立正大学客員教授という様々な肩書きを持ちますが、2005年に羽咋市役所の職員として「過疎の限界集落の山村集落を何とかしろ」という命令を受け、そこから羽咋市の活性化に尽力してきました。
私は市の活性化に携わるにあたり、予算要求は60万円と決めていました。中身は中型バス借り上げ費用と3回分の東京往復旅費だけで、広報費用はゼロ。広報周知には最初から経費はまったく見積もらず、「無料で報道してもらうこと」だけしか計画していません。そこでとった施策が、神子原(みこはら)という地名を活用してローマ法王にお米を献上しブランド価値を3倍以上にしたり、農家が農産物を直売するための会社を設立したりすることでメディアに取り上げられること。この連載では、その当時のPR施策や販売戦略を広報視点で分析し、読者の皆さまにメディアに取り上げられるためのヒントを提供できればと思っています …
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