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米国PRのパラダイムシフト

広報担当者の重要な評価軸 「レピュテーション」とは何か?

岡本純子(コミュニケーションストラテジスト)

読売新聞記者、PR会社を経て活動する岡本純子氏による米国からのレポート。現地取材により、PRの現場で起きているパラダイムシフトを解説していきます。今回は企業の評価を左右する「レピュテーション」とその調査方法がテーマです。

「ブランド」とは何が違う?

「自分たちの努力がどのような成果を挙げたのかを客観的な評価軸で見てみたい、幹部に示したい」というPRプロフェッショナルたちの声をよく聞く。マーケティングの担当者であれば、その成果は売上という形で直接的に数値として現れるものであるのに対し、PRの成果は数値化や相対評価が難しいものではある。アメリカのPRプロフェッショナルは、どのような評価指標を使い、効果を測定し、さらにその結果をどのように活かして、企業価値や評価(レピュテーション)を上げようとしているのか。アメリカの事例をご紹介しよう。

「企業のレピュテーションとブランドはどのように違うと思いますか」。筆者はちょうど10年前に受けた前職のPR会社の採用面接でこう聞かれ、非常に面食らった思い出がある。新聞記者を辞めて渡米し、3年半を過ごした後、帰国したばかりの私にとっては未知のPR業界で、正直、“PR”の“P”の流儀も知らなかった。その後のコンサルタント人生で、PR業界では、「レピュテーション」というものが、水戸黄門の「ご印籠」のようなもの(古いたとえで申し訳ないが、要するに、「物事の価値を測る重要な指標」)であると、しかと学んだのである。

実はこの「ブランド」と「レピュテーション」、定義も考え方も様々で「正解」はない。その意味論に深くこだわる必要もないと思うが、とりあえず代表的な解釈を挙げてみた(図1)。

このように解釈や定義は様々だが、この2つの相関関係は高く、クライシス発生時などに呼応して両方の評価が下がることが多い。大ざっぱに言えば、レピュテーションは様々なステークホルダーによる企業全体への評価、ブランドは顧客による製品やサービスへの評価といったものを指すようだ。そうした意味で、ブランドはレピュテーションを包含するコンセプトであり、一部である、との考え方もある。

また、ブランドは広告やマーケティングの領域、レピュテーションはPRの領域といった理解があり、よって「レピュテーション」こそが、企業の重要な評価軸と考えるPRプロフェッショナルは多い。

代表的な3つのランキング

こうしたレピュテーションマネジメントこそが広義のPRである、との認ションを数値化し、可視化してPR活動の指標とする考え方がアメリカのPR業界では一般的だ。アメリカでは、レピュテーションを指標化したランキングが数多く発表されているが、有名なものとしては図2の3つがある。

それぞれのランキングのトップ20を見ると分かるように、手法が様々で識は広がっている。そのレピュテーあることもあり、実にバラバラの結果となっている。共通点はAppleとGoogleがどの調査でもランクインしていることぐらいだ。どの調査も、複数の評価軸(属性)の質問を投げかけ、その結果で、企業がそれぞれ、どの分野で評価が高いのか、低いのかということが分かるようになっている。どのような属性が企業レピュテーションを形づくっているのかを考察するために、主な調査の評価軸を洗い出してみた(図3)。

共通するのは6つの評価軸

この3つの調査のほか、例えば …

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