記者と広報は、なぜすれ違う?第一線で活躍するメディアの記者に本音で語ってもらいました。
業界誌 記者 Nさん(女性)地方紙の記者を経て、業界誌の記者に転職。地方紙勤務時代は、「おじさんキラー」の異名をとり、特ダネを連発する敏腕記者として活躍した。最近の楽しみは、近所のおいしいお店をめぐることだとか。 |
新聞と業界誌で異なる文化
地方新聞社と業界誌での記者生活の中で、多くの広報担当者に出会った。新聞社では警察や地方自治体、地方企業、業界誌では首都圏の企業が主な取材先だ。特に企業は自治体や警察に比べて積極的に広報活動を行っているところが多く、こちらの要望に素早く対応してもらえて感謝している。
しかし、こうした積極的な広報担当者の多くが、取材後に口にする言葉がある。「原稿の確認をさせていただけますか」というものだ。ほとんどの場合は、悪意はない。自分の仕事を完璧にこなしたいという意志の表れなのだが、それは私たちにとって「残念」な言葉なのだ。
先日、「広報担当者の愛用している仕事道具を見せてもらう」という企画を掲載した時のことだ。締め切りも迫り、なかなか難しい取材になるかと思っていたが、知り合いの広報担当者に頼んだところ快くOKをもらうことができた。
数日後、取材を滞りなく終えて一安心。ところが、事務所で記事を書いていたところに、その担当者からメールが届いた。遠回しではあるが、原稿を確認させてほしいという内容だった。
具体性欠く台詞に変更
新聞社時代はほとんどなかったが、業界誌に移ってからはこうした要望が多いように感じる。今回はこちらの都合で取材を引き受けてもらったという負い目もあり、「見せるだけならば問題はないだろう」と思い、書き終えた原稿を先方に送った。
ところが驚いたことに、その日のうちに大幅に修正された原稿が送られてきた。文章は2倍ほどに増え …