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作家が危機対応をズバッと指南!

作家・城島明彦氏がみた 「大塚家具」のお家騒動 

城島明彦

危機を乗り越えるための対応方法は、時事ニュースの中から学べる点が多くある。取材される側と取材する側の両方を経験し、広報業界を30年以上見続けてきた作家・ジャーナリストが、危機対応の本質について解説する。

    「お家騒動」勃発の大塚家具
    広報はどう対応すべき?

    家具販売大手の大塚家具の経営権をめぐる問題。2月25日、創業者で父の大塚勝久会長が記者会見を開き、娘の久美子社長の退任を求めたのに対し、久美子社長は翌26日の記者会見で真っ向から反論。メディアの大きな関心を呼んだ。

「お家騒動」の渦中にある大塚家具(社員1700人、店舗数16)の大塚久美子社長をメディアは“かぐや姫”などと揶揄しているが、私に言わせたら“家具屋悲鳴”だ。私が、大塚家具の騒動に接して思い浮かべたのは、1959(昭和34)年に直木賞を受賞した城山三郎の小説『総会屋錦城(きんじょう)』である。久美子社長が創業者の長女として誕生したのは、その9年後の1968年だった。

『総会屋錦城』は、老獪(ろうかい)な総会屋が株主総会での議決権をめぐって暗躍する話で、小説発表の同年『総会屋錦城勝負師とその娘』という題名で映画化された。大塚家具の創業は、その10年後の1969年。かぐや姫誕生の翌年である。

歴史は繰り返し、お家騒動は漁夫の利を生む。大塚家具のお家騒動では、総会屋ではなく、「ブランデス・インベストメント・パートナー」という米国系の投資ファンドが暗躍した。大塚親娘間で「株主の委任状争奪戦」が勃発する事態を先読みし、株価1000円程度で発行済み株式の10%超も買い占め、親子が配当のつり上げ合戦に突入して株価が倍以上に跳ね上がると、ここぞとばかりに118万株(6.12%)を売り抜け、短期間でボロ儲けした。それでも同ファンドはまだ4.63%を保有しており、今後の揺さぶり材料になる。問題は …

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