この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
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赤城乳業 営業本部マーケティング部 次長 萩原史雄(はぎわら・ふみお)1995年入社。営業を経て、2004年から現職。06年ガリガリ君プロダクション設立、プロデューサーを兼務。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:共創/PRでは、メーカーが一方的にニュースを発信するのではなく、生活者が興味を持ち、共感する情報を発信し、生活者と一緒になって徐々に話題をつくり、大きなニュースにすることを常にゴールとしています(なかなか難しいことですが)。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:パワーゲームではなく、低予算でも知恵と勇気さえあれば、勝てるのがPRの楽しさですね。「ガリガリ君リッチコーンポタージュ」では「ガリガリ君史上、最大のニュース、最大の衝撃」のリリース発信(予算15万円)が、各メディアに取り上げられ広告宣伝費換算5億円以上の効果を生み国民レベルの大きな話題となりました。また「ガリガリ君梨」では、毎年品薄になることを逆手に取り「今年こそ、まぼろしとは言わせない。」のタイトルのリリースが、SNSの大きな話題となり、大ヒット商品となりました。メディアにお金をかけるのではなく、コンテンツに手間暇をかけることの大切さ実感しました。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)情報源の幅を広げると発信できるコンテンツの幅、掲載の幅が広がる(2)待ちではなく、積極的に動く姿勢(3)PR導線をイメージする
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:マーケティングにおける広報の役割、可能性はこの10年間で大きく広がりました。現在の大ヒットと呼ばれる商品は企業のPR活動なしではおそらく誕生しなかったと正直感じています。しかし、今後さらに多様化・スピード化し増え続ける情報の中で、今までのPRの方法では限界もすぐにやってくるでしょう。今後、その厳しい環境に対応できる新しい方法を小さなチャレンジから探していくことがこれからのマーケティングにおける広報の意義と感じています。生活者と真剣に、正直に向き合う姿勢を持って前向きに挑んでいきたいです。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:広報の仕事から様々な視点でモノゴトを考えること、生活者にモノゴトの価値を伝える難しさを学びました。そこから少しは成長できたのかなとも感じています。難しい、だからこそ成長できる仕事です。