この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
![]() |
NTTデータ 広報部長 冨岡洋子(とみおか・ようこ)1989年NTTデータ入社。海外事業、企業広告・宣伝、人材・組織開発などを経て2012年より現職。広報、宣伝、社内広報、ブランドマネジメントなど、企業コミュニケーション活動全般を担当。 |
Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:誠実/広報の基本は、地道で愚直な「対話」であると思います。そして誠実さは、相手との信頼関係を築くための、すべてのベースだと捉えています。表層的でない、真摯で深い思索をもって相対できているか、日々鍛錬の毎日です。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:海外事業を伸ばすためにM&Aを繰り返し、結果、グループとは言いながら会社名もブランドもバラバラに。それを打破するために海外グループ会社の再編を行った際、広報として、海外会社をすべて「NTTDATA」ブランドに統一する、ブランド統一プロジェクトに携わりました。一歩一歩愚直に歩みを進めていくことで、周囲を巻き込み、仲間が増え、結果、予定より1年も前倒しで実現。環境変化に対応しようとする企業のダイナミズムの中で、コミュニケーションが寄与できることの大きさを実感しました。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:(1)コミュニケーション力(日本語・英語)(2)企画力(3)分析・調査力
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:企業と社会の窓口としての広報は、いつの時代も変わりなく、企業にとって必要不可欠な機能ですが、それに加えて、社会環境や企業にとっての課題の複雑化、ステークホルダーの多様化といった環境変化から、コミュニケーションそのものの価値が一層クローズアップされてきたのがここ数年の流れだといえるでしょう。最近ではコミュニケーションが単なる手段でなく、課題解決のためのソリューションそのものとなるようなケースも出てきました。今後はその流れが一層加速することが予想されます。ネットとリアルの双方で、チャネルがますます拡張され、伝えるべき・伝えたい内容も増大しています。それらをどう掛け合わせて価値を生み出していけるか、とても挑戦しがいのある時代に突入していくと思っています。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:事業・社会環境が複雑化し、ステークホルダーも多様化する中で、広報に期待される役割はますます大きくなり、コミュニケーションで価値を提供できる領域は、これまで以上にどんどん広くなっていきます。これほどエキサイティングなタイミングはありません。ぜひ、新たな挑戦を!