この10年、現場で挑戦を続けてきた35人の実務家の皆さんが考える広報の仕事の醍醐味とは? 企業はもちろん、自治体や大学まで、あらゆる場面で広報の力を実感したというエピソードも満載です。未来への提言、読者へのメッセージもいただきました。
富士ソフト コーポレートコミュニケーション部 部長関西大学法学部卒業、ダイエー入社。広報部広報課長、子会社の取締役営業本部長などを経て、2001年IR広報本部広報部長。05年スタッフサービス・ホールディングス入社、広報部ゼネラルマネージャー。09年富士ソフト入社。08年経済広報センター「企業広報賞」企業広報功労・奨励賞受賞。
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Q1:広報の仕事における「座右の銘」/その理由を教えてください。
A1:「ネアカ、のびのび、へこたれず」/土壇場、瀬戸際に立った時でも、あきらめずに果たすべき役割に最善を尽くす。厳しい状況をも楽しむ気持ちで企業広報に携わってきました。広報の立場からすれば理不尽と思えることが多々起こりました。それぞれの局面で伝えたいことを明確に伝えつつ、誠実な姿勢で、取材への対応を粘り強く続けてきました。このやりとりのプロセスから記者との信頼関係が築かれ、現在の私の財産になっています。
Q2:これまでのキャリアのなかで、最も広報の力を実感したエピソード、仕事の醍醐味や面白さ、やりがいを感じた経験を教えてください。
A2:広報の醍醐味は時代性・会社の動きをリアルタイムで感じることができる躍動感です。福岡ダイエーホークス(当時)が1999年に球団創設11年目にして初のリーグ優勝を果たした際、ダイエーグループ全体で全国規模の優勝セールを実施することになり全国のメディアを網羅する広報活動を展開。広告換算でも驚異的な媒体露出を獲得し、プロ野球の優勝セールが大きな商機になるという流れをつくりました。やりがいということでは「阪神・淡路大震災」と「日本経済構造改革の象徴とされたダイエー再建問題」でのメディア対応。これは単に「危機管理」というだけでなく「企業」の存在について社会の理解を得ていくということについて一翼を担えたことです。
Q3:この先10年の間に、広報の仕事に求められるスキルを教えてください。(3つまで)
A3:[1]聞く力 [2]伝える力 [3]情報収集力
Q4:過去10年の「広報」の役割の変化。これからの企業・社会における「広報」の意義や役割とは?
A4:企業広報とは、いわば「会社、経営を映す鏡」。地道な情報発信を続けることで広く社会の理解を得ることと、広聴活動を通して世間と社内の橋渡しをして、ズレを調整する、という2点に尽きるといえます。この10年間で見ても、人々の記憶に残るような企業不祥事の報道を契機に、広報部門に期待される役割が高まっていると言えます。変化という点では、インターネットメディアの影響力の拡大が企業活動にも大きくインパクトを与えています。時にはモンスターとも思えるこのメディアとの適切な関係を構築していくことが広報の課題だと感じています。
Q5:「広報会議」読者、これからのPR・広報の仕事を担う皆さんへメッセージをお願いします。
A5:「わくわく、ドキドキ」の連続こそが、広報の魅力です。