頻発している、コンプライアンスや内部統制に関する企業リスク事例。今回は万引き犯の写真を公開した「まんだらけ」(東京・中野)の事件から、「経営者は社員の目を意識した対外広報に努めるべき」と警告する。
まんだらけによる「警告」
ウェブサイトに公開された、犯人と疑われる男性のモザイク入り顔写真。
9月初旬現在もこのページは一般に公開されている。
法律関係者の見解は?
古書、アンティーク雑貨等の販売を主たる業務とする株式会社まんだらけ(東証マザーズ、以下M社という)の万引き犯写真公開騒動が話題となった。発端は8月4日、M社運営の中野店において、約25万円相当の「鉄人28号」のブリキ人形が盗まれた事件である。本件についてM社は、(警察に被害届を提出すると同時に)自社ウェブサイトに犯人と疑われる男性の顔写真をモザイク入りで公開。「8月12日までに盗品を返却しない場合、万引き犯のモザイクを外して顔写真を公開する」との声明を発信した。この声明はネット上で直ちに話題となり、賛否両論の意見が出される事態となった。
世間一般では「すぐに顔写真を公開せよ」「万引きだから公開されてもやむをえない」など、M社の対応を支持する意見が比較的多く見られた。一方で、法律関係者の間では、「一企業が勝手に顔写真をさらす行為は、人の名誉に対して害を加える告知をしているといえるので、M社としては名誉毀損もしくは脅迫罪として処罰される可能性がある」「自力救済を認めると、法による秩序は保てない」と指摘する。
また警察も ...
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