ブラック企業に就職すること。最近の学生が、最も恐れることの一つと言われている。悪評が一度ネット上に拡散されれば、採用広報に深刻な影響を与えかねない。人事も広報も押さえておくべき、企業評価の実態について専門家に聞いた。
新卒3年後定着率ランキング(一部抜粋)
出典:東洋経済オンライン
新入社員に優しい「ホワイト企業」トップ300(「新卒3年後定着率」ランキング)本誌では125社の同率1位企業のうち、10年入社者数(13年在籍数)が男女計15人以上の企業を抜粋。(注)男女合計の3年後新卒定着率でランキング(新卒者3人以上が対象)。定着率が同じ場合、2010年4月の入社者数の多い順に表示。新卒入社者は学歴問わず全員。10年4月入社の新卒入社者数と、その3年後である13年4月1日現在の在籍者数で計算。10年4月に採用実績がない場合、前年になっていることがある。『CSR企業総覧』2014年版掲載の1210社のうち男女とも入社者、在籍者を開示している805社が対象(出所)『CSR企業総覧』2014年版
水島宏明 法政大教授
イメージだけ繕っても逆効果。
バイトやFC店の勤務体制に目配りを。
深夜時間帯に1人で店舗経営をさせていたゼンショー、社員の過労自殺をめぐる訴訟が係争中のワタミ――。こうした問題に端を発し、社員に過酷な労働を迫る「ブラック企業」がインターネット上などで話題になるようになって久しい。こうした企業への評価は、社会的な信用を下げるのはもちろん、採用広報にも大きな影響を与えている。
労働問題に詳しい作家や弁護士などが実行委員となり毎年開催している「ブラック企業大賞」の審査員を務め、自身も教壇に立つ中で就活生のリアルな声を聞いている、法政大学社会学部の水島宏明教授は、こう警鐘を鳴らす。「これまで労働問題はクローズドの場で発生することがほとんどでした。しかし、今やこうした閉じられた社内のやり取りが、いつSNSにさらされてもおかしくない時代です。例えば、ブラック企業大賞2014にノミネートされた、たかの友梨ビューティクリニックでは、髙野友梨社長が従業員に『労働基準法にぴったり沿ったら、絶対成り立たない。潰れるよ、うち。それで困らない?』などと発言した録音記録が公開され話題になりました。このほか、ブラック企業大賞の実行委員会に寄せられる情報で最近多いのがSNSを通じたものです」。
話題にあがった、たかの友梨ビューティクリニックのような企業広告を多く展開し、クリーンなイメージを社会に打ち出しているような企業ほど、一度「実は陰でこんなことをやっていた」というような情報が出てくると、炎上を招きやすい傾向にあるという。
では、どのような情報がネット上の悪評につながりやすいのか。水島教授はこう指摘する...