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有名牛丼チェーン従業員がネットで団結、「ソーシャル・ストライキ」というリスク

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示版、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

苛酷な労働環境で注目される牛丼チェーンで、特定の日に誘い合わせてバイトを休むことで店が営業できないようにしようという呼びかけがネット上で広がり、大きな騒ぎに発展した。

それは関係者の掲示板で始まった

深夜の一人勤務などの苛酷な労働環境がニュースで取り沙汰され、人材確保で困難が続く牛丼チェーンのすき家。そこで働くアルバイトスタッフが語り合うネット掲示板で、特定の日に皆で休んで、店の営業ができないようにストライキをしようという呼びかけが起きた。その情報がツイッターなどで広まり、当日、大手メディアもネット上で情報提供を呼びかけ、世間の注目が集まる事態に発展した。

今回のように関係者がネット上で声をあげ、世間の注目を集めて話題が広がっていく場合、渦中の会社の広報部門としては、一体何を意識しておくべきだろうか?

掲示板だけでは分からない

今もなお、ネット掲示板はこうした情報交換や不満のはけ口、あるいは結託の場として使われることが珍しくない。会社に不満を持つ者が匿名でやり取りするには最も手軽で集まりやすい場だ。

しかし、書き込みをしているのが本当に関係者か、どの程度リアルに影響が出るものかはわからない。単に騒ぎに便乗しようとする人や、少人数で盛り上がっていることも多いからだ。

その意味で、「話題については認識している」というスタンスをとりつつも、ネット上の情報だけに振り回されずに、まずは現場の正確な情報をつかんでおくことが重要だ。

スト予定日の当日、結果的には目立ったストの情報は見られなかった。以前から続く営業時間の短縮や休業中の店舗は見られたものの、一般的な見方ではネット上の呼びかけによる影響はほとんどなかったとされている。

会社のメッセージをはっきりと

一方で、その騒ぎと報道の広がりはストライキそのものとは違う影響をもたらす可能性がある。

広報部門の役割としては、世間の注目が集まっている時に、その会社に対する不安を払拭するメッセージをしっかり発信しておきたい。「具体的に、会社としてどう考え、どう対処しようとしているのか」という情報だ。

すき家の場合、さまざまな報道を見る限りでは、どう対応するのかという問いに対して「冷静に対応する」という程度のコメントしか出ていない。このような「具体性のない答え」では、会社として真剣に問題に向き合っていないと受け止められる危険性が高い。

実際のところネットでは、スタッフ不足の店内の様子がよく写真に撮られて広まっている。片付けられていない皿の数々、雑然とした店内などである。こうした情報によって、「(スタッフ不足から)不衛生というイメージに変わった」というコメントが目立ち始めている。これは飲食チェーンとしては何としても広めたくない印象である。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組み作りに取り組む。著書は最新刊「なぜ経営者は『嘘つき』と言われてしまうのか? PRのプロが教える社長の伝え方・話し方」(日経BP)ほか25万部超のベストセラー「頭のいい説明 すぐできるコツ」など多数。公式サイトは http://tsuruno.net

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