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法律の知識を解説!

リークにどう対応する?第一生命、米生保買収スクープに学ぶ有事の危機管理

山口利昭(弁護士)

頻発している、企業コンプライアンスや内部統制に関する企業リスク事例。こうした危機に備え、企業イメージの構築・発信を担う広報担当者が押さえておくべき企業法務とは。昨今のニュースをもとに、企業価値と法律に関連するポイントを解説する。

東京証券取引所ホームページより

日経スクープが第一報となった買収劇
6月4日、第一生命保険が保険業界では史上最高額となる約5882億円の巨費を投じ、米中堅生保プロテクティブ生命保険を買収すると発表した。日本の保険会社によるM&Aで過去最大。世界で最も大きい米国の個人保険市場に参入し、アジア中心だった海外事業を一気に本格化する。大きな衝撃をもって迎えられたこのニュースは、正式発表2日前となる6月2日、日経朝刊紙面のスクープ記事によって知らされた。

東証の新たな“注意喚起制度”

2014年6月2日、月曜日の日経新聞朝刊一面トップ記事に、「第一生命、米生保買収へ」との大きな見出しが躍った。買収によって日本生命と規模において並ぶということで、誰もが驚いたスクープ記事である。早速、同社は「これは当社が公表したものではない。検討していることは事実だが、何も決定事実はない」と、同日早朝にリリースを出した。

その後、同日の日経新聞夕刊には、今度は「第一生命、米生保買収で初の公募増資2000億円規模」との見出しでニュースが報じられると、同社は「公募増資を含めたさまざまな資金調達手段の検討に入っている」と公表。しかし東証は、この夕刊記事へのリリースだけでは、エクイティファイナンス*に関する同社の情報が不明確な状況にあるとして、新設された注意喚起制度のもと、第一生命のリリースを「注意喚起」として、東証ホームページのトップページで紹介した(なお、第一生命は6月4日、決定事実をきちんと公表している)。

* エクイティファイナンス…新株発行を伴う資金調達を指す。

このように、 ...

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