広報活動の本領でもあるメディアリレーションズ。自社の顔として、メディアとの良好な関係をいかに築くか。ポイントとコツを説明する。
イラスト/岡田丈(vision track)
豪華な食事に高価なプレゼントでメディアを喜ばせようとしても、相手にとっては負担に感じることが多い。あるベテラン広報からは、メディアとのカジュアルな関係性を築くべく、食事の店は「あえて駅前の焼き鳥屋を指定する」という声も聞かれる。
基本的にメディアに対して「お礼」をする必要はない。同様に、相手が著名人である場合などを除き、メディアから取材相手に対して(取材を受けてくれた)お礼をすることがないのももちろんのこと。メディアと企業の関係は、「情報を欲する立場」と「情報を提供する立場」という原則があるため、料金が発生するペイドパブリシティなどでない限りは、基本的にメディアと企業は同格。最近では、あまりに豪華なものをメディアに渡すと「受け取れない」と突き返されるケースも多い。一方、企業側も「わいろ」と取られないように、メディアに渡すものはコンプライアンスの面からも気を付ける必要がある。
ただし、例えば飲料メーカーなど、「もし気に入ったら記事にしてください」という意図から、「事前試し飲み」のような感覚で商品を配布したりすることは、広報活動の一環としておかしいことではない。目的に応じて、バランスを見極めることが必要だ。
また、メディアによってあからさまな特別扱いをすることも反感を買う場合があるため要注意。特に、一堂に複数のメディアが会した記者会見の場など、公平性が重視される時はなおさら。撮影位置が優遇されたり、「〇〇社のみ個別取材に対応します」などの特別扱いを設けると、クレームにも発展しかねない。