これまでマスメディアとのリレーションを築いていればよかった広報担当者。環境の変化に合わせ、ウェブでも効果的に情報を広めていくためには、いわゆる「メディア」へのアプローチだけでは足りない。実践方法を聞いた。
ここ数年のメディア環境の変化に伴い、広報の仕事の流れは大きく変化しています。担当者は4大マスメディアだけに目を向けるのではなく、さまざまなインターネットメディアに力を入れる必要に迫られています。著名な商用ウェブメディアに加え、ミドルメディアの影響力も大きく、それらを理解することが広報にとって重要になってきています。Yahoo!個人や、ネットにコラムを持っている業界の有識者、有名な個人ブログなども同様でしょう。たとえば、セブン-イレブンのサラダチキンは「まとめ職人」とも言われるnarumi氏の個人ブログ(http://narumi.blog.jp/)で、ダイエットにも良いと2013年10月に紹介され、それが引き金となって他メディアで多数取り上げられ、ソーシャルメディアでも拡散して品薄になりました。このような現象は記憶に新しいところです。
このように、多様化するメディア環境を考慮すると、従来通り記者リストに向けてプレスリリースや会見のご案内を送るだけの方法ではもはや対応しきれません。必要としている人のところに情報を適切に届けてくれるさまざまなメディア・人を念頭に置き、ネタを紹介していくことが求められます。
付き合うべき人、やるべきこと、どこまで広がる?
デジタル時代の広報担当者は、従来のマスメディアだけに向き合えばいいのではない。情報提供者となるさまざまな個人との新しいコネクションづくり、売り込むためのネタ・コンテンツづくりも必要に。
WBSからアプリ専門サイトまで
ここで、最近当社で手掛けたスマートニュース社(初期の社名はゴクロ)の事例を紹介したいと思います。スマホ向けにニュース閲覧アプリ「スマートニュース」を提供する同社の場合、プレスリリースの配信サービスの利用はもちろんのこと、新聞やビジネス誌への取材依頼に加え、アプリユーザーと親和性の高いオンラインメディアである『CNET』や『東洋経済ONLINE』などの記者の方に個別取材をお願いし、スタートの経緯やサービス内容といったベーシックな部分まで丁寧に記事化いただきました。加えて、ネット界で知名度の高い個人ブログ「め〜んずすたじお」などの個別インタビューも設け、ネット上での拡散につながりました。