機関投資家だけでなく、“ファン株主”を得たいという企業が増えています。本連載では、個人投資家向けに株式の評論を行う櫻井英明氏が、マーケットで選ばれるIRコミュニケーションの秘訣を読み解きます。
IRサイトには、V字回復を果たした業績グラフが掲載されている。
状況の良いときも、業況の悪いときも、顔色ひとつ変えずに職務にまい進するのがIR担当。会社の顔である以上トップ同様に本来動揺した姿や気落ちした雰囲気を漂わせてはいけない。「そんなの無理」という言葉も聞こえてきそうである。しかし「良いときは元気で悪いときは意気消沈」ではアナリストは言うまでもなく投資家さんに見透かされてしまうことは間違いない。かといって、カラ元気で振る舞うことが大切と説いている訳ではない。必要なのは、的確な情勢分析と心からの愛社心だろうか。客観的な自社の立ち位置を把握し、自分の属する会社に対して溢れんばかりの信頼感を注げるかどうかが重要な部分だろう。誰よりも会社の未来を信じること。そうでなければ会社のことを他人に説明するにしても、理解してもらうにしても、説得力に欠ける。
ところで国土交通省は戸建てや分譲マンションなどの中古住宅に200万円程度の補助金を出す方針を打ち出した。欧米並みに中古住宅市場の育成を図るという政策だ。政策的な中古住宅優遇につながり中古住宅市場は拡大しよう。
この政策の恩恵を多大に受けると考えられるのが中古マンションをリノベーションして販売する専業としては唯一の上場企業であるインテリックス(8940)。年間の中古マンション供給数は、首都圏での昨年の新築マンションランキングに組み込めば8位になる。現在、首都圏の中古マンション販売の成約件数は年間3万件を超えているがいずれ新築と中古の市場規模の逆転が起こる可能性は高い。株価は昨年初の300円水準(12月の株式100分割考慮後株価)から1000円台まで長期上昇基調で「国策にウリなし」の格言はまさに追い風だ。