企業やブランドの持つメッセージや世界観を伝える手段として重要な役割を担うブランドツール。一口にブランドツールと言えど、目的によってその種類や手法もさまざま。特にグローバル規模で展開する企業やブランドが用いるブランドツールは緻密なコミュニケーション設計がなされ、ツールを用いた情報発信の仕方も多岐に渡る。グローバル企業が消費者との接点として用いるブランドツールはどのようなもので、そこにはどんな意図や背景があるのか。ひとつひとつのツールをもとに掘り下げる。
テレビCMを打った大型キャンペーンムービー
「旅への誘い」と題した新キャンペーンの第二弾となるムービーを今秋公開。デヴィッド・ボウイの出演でも多くの注目を集めた。ヴェニスのサン・マルコ広場を舞台に、幻想的な世界観が繰り広げられる。
世界的なラグジュアリーブランドの代名詞として知られるルイ・ヴィトンは、「旅」をテーマとしたブランドだ。ブランドの創始者であるルイ・ヴィトンは、1854年にトランク製造職人兼荷造り職人として修業を積み、旅行鞄専門店として店をオープンしたことから、ブランドのルーツとして旅は切っても切り離せない関係にある。それは製品やコレクションのみならず、コミュニケーションにおいても同様で、これまで旅をテーマとした多くのキャンペーンが展開されてきた。
そんな中、今年11月に大きな注目を集めたのが、1編のムービーと14点のビジュアルからなる新キャンペーン「L'INVITATION AU VOYAGE-VENICE=ランヴィタシオン オヴォワイヤージュ-ヴェニス」(=旅への誘い)。2012年にスタートしたキャンペーンの第二弾となるストーリーで、ミュージシャン・俳優として知られる世界的アーティスト、デヴィッド・ボウイが出演し、ユーチューブの公開からわずか3日間で再生回数が3万回を超えるなど、世界中から多くの注目を集めた。