全国に先駆け、スポーツ行政の専門組織、東京都スポーツ振興局を立ち上げ、現在、同局局長、招致委員会理事、そして自らも毎朝5キロのジョギングを欠かさなくなったという細井優氏に、スポーツの力で実現したいことを聞いた。

スポーツを通じ、海外に目を向けるきっかけづくり
子どもが海外に目を向けるきっかけづくりのため、東京都は東京国際ユースサッカー大会やジュニアアジアスポーツ交流大会を開催。海外と日本の子どもたちが交流する機会をつくっている。
東京都がスポーツ行政に本格的に力を入れ始めたのは、石原(慎太郎)都知事の時代です。それまでスポーツは、「学校体育」の延長線上で教育庁にありましたが、2007年知事直轄の知事部局に生活文化スポーツ局スポーツ振興部が設けられ、私がその初代部長になりました。(2016)東京オリンピック・パラリンピック招致本部の企画部長を経て、10年7月に新設されたスポーツ振興局に移りました。
2回の招致活動に関わってきたこともあり、東京五輪の実現は本当に嬉しいものでした。前回の問題点を徹底的にクリアしてきたことが勝因でしたね。大きかったのは、支持率の低さを解消したこと。1回目の招致では、知事が先頭に立って「招致」をめざしたのですが、国やJOCなどとの連携が不十分だった。その反省点などを踏まえ、今回は各種スポーツ団体のほか、他の都道府県、特に被災地からの要請の声を受けて、東京が立候補を決断しました。そして、11年7月の日本体育協会およびJOCの100周年記念式典の場で立候補の正式表明を行いました。
また、2012年のロンドン五輪で日本人選手が38個のメダルを獲得したことも追い風になりました。選手団の凱旋帰国後、銀座で開いたパレードには平日にも関わらず50万人以上もの人が集まり、その盛り上がりを誰もが実感できたと思います。実は、「銀座パレード」の案は、石原前都知事が考えたもの。その前年にサッカー女子「なでしこジャパン」がワールドカップで優勝した際、「なぜ銀座でパレードしないんだ?」とお叱りを受けたことがきっかけでした。