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青山広報会議

サイボウズにGoogle+、オンライン活用の社内広報

アイ・エム・ジェイ×ノバレーゼ×夢の街創造委員会

従来、社内報といえば紙媒体が主流だったが、現在はイントラネットやSNS、オンライン版社内報を介して、社内情報の収集と共有を試みる例が増えている。そこで、積極的にデジタル媒体を社内広報に採り入れている企業の広報担当者が集まり、ユニークな活用法や紙媒体との上手な使い分け、今後の可能性などについて話し合った。

アイ・エム・ジェイ×ノバレーゼ×夢の街創造委員会

野原▶ ノバレーゼは今年で創業13年目に入るブライダル企業です。全国27ヵ所の結婚式場のほか、ドレスショップ15店舗、レストラン5店舗、婚礼提携2店舗の合計49拠点を運営しており、アルバイトを含めて約1350人が働いています。社内広報では、社内SNSの運用に加え紙の社内報を発行しています。

石黒▶ 夢の街創造委員会は、出前・デリバリーのポータルサイト「出前館」を2000年から運営している会社で、従業員数は100人以下という小所帯です。一方で、加盟店は全国チェーンの飲食店から個人経営のお店まで国内1万1000店以上あり、会員数も530万人を突破しました。社内広報活動としては、社内報の発行のほか、社内イントラの掲示板機能を活用し、社内情報を共有しています。

坂場▶ アイ・エム・ジェイは1996年の創業時はウェブサイト制作からスタートしましたが、現在はインターネットを利用したデジタルマーケティング事業全般を行っています。社員数はグループ全体で約800人おり、シンガポールや中国でも事業を展開しています。仕事柄、デジタルメディアに慣れた人が多く、以前は冊子での社内報を発行しておりましたが、4年前にウェブ版の社内報(グループ報)に移行しました。

情報の更新性とアーカイブ性

野原▶ システム担当など事務系の職種には、デジタルメディアが便利でしょうね。当社の場合は、配属先によってはパソコンの設置台数が少ないこともあるため、紙の社内報「ノバビタ」を社内広報の主軸に据えています。発行部数は約1500部で、アルバイトまで全員に配布しています。

そのほか、通称「Nコン」と呼ばれる全社員が一年間の仕事を作文でまとめた冊子や、ナレッジ共有のためのポータルサイトである「ベストプラクティス」、同じくナレッジ用の動画を配信する「ノバTV」、業績など数字を開示するイントラネットなどがあり、社内報を補完しています。

ひとつの会社に属しているとはいえ、システム担当者と披露宴のプランナーとレストランの厨房スタッフとでは、業務のルーティンがまるで違っているため、いかにして従業員同士がコミュニケーションをとるかということは大きな課題。コミュニケーションツールのひとつとして社内報の担う役割は決して小さくありません。

そのため、制作には社内でも力を入れています。広報業務全般は私がひとりで担当しているのですが、紙の社内報制作は別に1人を専任で置いて、企画、取材、撮影、原稿制作、デザイン、入稿まですべて内製しています。決まった担当者が各拠点を直接訪問することで現場とのコミュニケーションが深まり、「頑張って仕事をしている人が広報誌に載るんだ」という意識が当社では文化として根ざしています。誌面に同僚が登場すると職場全体が嬉しいと共感でき、仕事へのモチベーションが上がるようです。

また、「ベストプラクティス」などのデジタルコンテンツも併用して、こまめに各拠点の社員とのコンタクトをとっているせいか、広報誌制作に積極的に協力する雰囲気が社内に育っており、ネタ探しに困ることはほとんどありません。

石黒▶ 当社では月1回、A4サイズ1枚から2枚程度とボリュームは少ないですが、移動中でも閲覧できるPDF形式で社内用を発行しており、重宝がられています。また、社内掲示板では、取材を受けたときの様子を写真入りで紹介するなどして、意外と知られていない広報の仕事を知ってもらうと同時に、外部の方が当社をどのように見ているかを伝えて、営業活動などにも役立ててもらえるようにと心がけています。

配信には社内用のイントラネットを使っており、基本的には全社員が情報の受信・発信ができる仕組みです。掲示板に外食産業全体の動向や競合企業に関する記事のクリッピング情報は、広報担当の私だけでなく、他の社員が投稿することもあります。“全員広報”の意識が“一人広報”という現実をサポートしてくれているなと感じることもしばしばです。

坂場▶ 「ブランド・コミュニケーション室」という部署名からもわかるように、広報も含めて、社内外に向けたブランディングを担当しています。ウェブだけでなく、リアルのつながりも重要と捉え、最近では、社内イベントを中心とした社内コミュニケーションの情報を盛り込むようにしています。

ポータルサイト型のグループ報「いむじぇ」は紙媒体に比べて、情報のアーカイブ性と更新性を高められる点が特徴です。たとえば、特集では、社員の座談会や社内イベントのフォトレポートなどをアーカイブして公開しています。また、オフィスの引っ越しやクリスマスの飾り付けなど日々の小さな出来事を撮影した「今日のひとこま」なども含めると、ほぼ毎日更新しています。更新頻度を高めることは、閲覧したときに「前と何も変わってないな」と離脱されるのを防いでいるのです。

野原▶ 紙媒体の時と変わらないこともあるのでしょうか?

坂場▶ 月1回、社員全員にメールで送信する「いむじぇ通信」では、紙媒体で表紙を飾るような人の話を聞く「ヒーローインタビュー」や特集記事など、紙媒体を踏襲したコンテンツを組み込んでいます。いむじぇ通信を配信するといむじぇ本体のポータルサイトへのクリック率が急増し、社内広報へのアクセス性を高めています。しかし、配信時以外にクリック数を上げる材料が見つかっておらず、今後の検討課題のひとつですね。

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