販促予算の投資先の比重は 新規 > 既存という結果に
販促会議編集部では読者を対象にアンケートを実施。今月の特集企画「販促予算」について、その使い道や現状を探った。各社ソーシャルメディア広告などのWebプロモーションに注目しているようだ。
販促予算 「何に」「いくら」「どう使う」
ブランディングとプロモーション、相反するものと思われがちだが、それは大きな誤解だ。その誤解は機会損失につながるおそれがある。ブランドマーケティング戦略を専門とする山口義宏氏が解説する。
企業のマーケティング活動目標を把握しているか
各施策間の齟齬を生まないためには、目標の共有が第一歩だ。以降グラフはニールセンとCMO Councilの共同調査の結果。2014年4月〜7月にかけ、ブランド責任者546人、広告代理店担当者661人、メディア事業者377人が対象。
よくある誤解ですが、ブランディング施策とプロモーション施策は敵対する概念ではありません。
ブランディング施策は、顧客の頭の中に良い知覚価値イメージの浸透を目指すため、上品で洗練された表現が多く見られます。
それとは対称的に、販売促進のプロモーション施策は、購買意欲を掻き立て、すぐに購買意思決定を引き出すために「今なら20%オフ!」のように、少し下世話でも煽る表現が多くなりやすい力学が働きます。
そのため、ブランディング業務に関わる方で、販促プロモーション施策を毛嫌いする方もいますが、それは顧客の購買心理や実態を見誤った幼い態度です。いずれも「売り上げを拡大する」という同じ目的を持ちます。アプローチ手段は異なりますが、効果的に連携すべきものです。
それでも、両者を対立概念と捉えて思考停止したり、両施策間の連携が不十分なために事業の成長機会を逃している企業は多いものです。
業種と求める売上規模にもよりますが、ブランディングだけでは売上に転換できませんし、逆に販促だけではいずれ売上の伸びや顧客獲得費用の面で行き詰まってしまいます。
例えば化粧品や健康食品の通販では、売上高30億円あたりに大きな壁があります。最初に単品の商品がヒットすると、売上高5億円〜10億円というレベルまでは到達します。さらに商品のラインナップを拡充したり、CRM(顧客関係管理)などの顧客獲得など維持のテクニックを洗練させたりすれば、おおよそ売上30億円あたりには達するのです。
しかし、このあたりから顧客獲得コストが上昇し、成長は打ち止めになりがちです。そこから先の顧客数拡大には、ブランドの認知や知覚価値、例えば「◯◯と言えば、美白成分でシミに効く」といった信頼性がなければ、商品を買わない層が増えていくためです。
販促に頼るだけでは、売上や顧客数の伸びが鈍化します。その具体的な数字はそれぞれの業態で異なりますが、同じような「壁」が存在します。
ブランディング施策への投資が必須となるのは、このタイミングです。これはメーカーだけでなく小売りも同様で、来店客数を一定以上に増やすには、ブランディングが欠かせなくなります。
翻せば、この段階に至るまでは、ブランディング目的に特化したコミュニケーション施策に予算を使う必要性は低いとも言えます。手堅くROI(投資対効果)を重視し、販促プロモーションにフォーカスするのが地に足付いたやり方です。
市場顧客の多くの頭の中にブランドの知覚価値が浸透すると …