5月に発売開始したキリンビールの「47都道府県の一番搾り」が、好調な売り上げで推移している。全国47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる同商品の年間販売目標は、好評を受けて120万ケースから約7割増となる200万ケース*に上方修正された。地元に根ざした商品を通じた各地域の活性化とともに、ビール市場の盛り上げを図っている。
*1ケースは大びん20本
地域の魅力を発掘しながら作り出す「47都道府県の一番搾り」。各地で親しみを持って受け入れられている背景には、地元の人々との共創によって生み出されたという地域密着の商品づくりがあった。キリンビールで同商品のマーケティングを担当する瀬尾瑛峻(せお・ひでたか)氏に聞く。
―「47都道府県の一番搾り」が好調です。その要因をどのようにお考えでしょうか。
瀬尾瑛峻氏▶︎ 今回はビール業界で初めて、単一ブランドを47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめるように作り分けましたが、47種類のブランドを作ったとも言い換えることができます。プロモーションでも、各都道府県の持つ地元の気質や風土をそのまま体現すべく、47種類のテレビCMを制作しました。「一番搾り」のブランドアンバサダー、アイドルグループの嵐の皆さんに、各地に住む方々が地元の誇りや気質を絡め、それぞれの地元の「一番搾り」をオススメする企画です。非常に大きな反響があります。
例えば、広島なら大きな鉄板を囲んでお好み焼きを食べるように、仲間と一緒にビールを飲むことをオススメしたり、福岡なら地元の絆を大事にする気質の象徴として、博多祇園山笠が取り入れられています。各都道府県に合わせてCMを作り分け、その上で嵐の皆さんが地元の方々からオススメを受けるという、いままでのCMではあまり見たことのないかけ合いもあって、共感性が高まっているようです。
―各都道府県の気質や風土は、どのように定義されたのでしょうか。
瀬尾氏▶︎ 今回の商品は、“地元の誇りを、おいしさに変えて”をスローガンにしています。その肝として ...