データで見る、ECサービスの市場概況のいま
ECサービスの市場は、どのように拡大しているのか。実店舗との販売チャネルを統合的に提供する「オムニチャネル化」は、どの業種でどの程度進んでいるのか。ここでは、ECサービスを取り巻く基礎情報として、その実態を紹介する。
ECの分水嶺はクリエイティブにある
ひところは、生鮮品はインターネットを介した販売が難しいとされていた。小売大手がネットスーパーに乗り出し、少しずつ普及してきているものの、手にとって確かめられなかったり、足が早かったりすることから、手が伸びない人もいるだろう。そうした中、鮮魚を売買できるアプリの制作を進める新興企業がある。鮮魚はECでもハードルの高い商材だが、はたして勝機はあるのか。
現在は、一般的なEコマースサイトで鮮魚の販売に挑んでいる。サイトはコンテンツも豊富。ブログや図鑑を眺めているだけでもちょっとした知識が手に入る。「こうした情報がヒキになるのは、アプリでも変わらないはず」と運営する柴田壮潤氏は話す。
「スマホを、鮮魚の販路にできないか」─あるベンチャー企業が、鮮魚流通に風穴を開けようとしている。東京・渋谷にオフィスを置く、「SAKAMA(サカマ)」だ。エンジニアの柴田壮潤氏が2015年2月に立ち上げた。柴田氏はパーク24、アドウェイズ、ブリヂストンという異色の経歴を持つ人物でもある。
鮮魚は、中央市場だけでも約3兆円の取扱高がある。しかし柴田氏は「流通効率の低さをふまえれば、もっと市場を広げられるのではないか」と語る。そこでサカマは、鮮魚を売り買いできるアプリの制作に乗り出した。「鮮魚を買える機会が増えれば、利用する人は必ずいる。人気の鮮魚専門店も多いし、いまだに漁獲量や価格がニュースにもなる。鮮魚のコンテンツ力はとても大きい」
しかし、それならばなぜ、ほかのECサイトで売られる魚の数が増えないのだろうか。
柴田氏が漁師や仲買人さんなどの仕入側、販売先となる飲食店側などに当たってわかったのは、鮮魚の売り買いは“信頼”という眼に見えないもので成立しているということ。「魚は市場に行って自分で確かめたいという人も少なくないし …