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ECの分水嶺はクリエイティブにある

クリエイティブディレクターはEC企業にこそ必要

食品定期宅配を手がけるオイシックスは8月1日付で、水野学氏(グッドデザインカンパニー代表)を、同社のクリエイティブディレクターとして迎え入れた。今後、中長期的に同社のブランディングを手がける。オイシックスの統合マーケティング室室長兼チーフ・オムニチャネル・オフィサーの奥谷孝司氏は「通販企業こそクリエイターと組むべきだ」と話す。奥谷氏に、水野氏の就任と、ブランディングの重要性について考えを聞いた。

上/オイシックスの新ロゴ。以前は、みかんのような果実を模した「O」が特徴的なロゴだった。書体もサンセリフ体から、セリフ体に。サンセリフやや無機質でデジタルな印象がつくが、新たなロゴになって柔らかさや、みずみずしさ、気品が感じられるようになった。下/オイシックスが販売する野菜や果物から代表的なもの41種類で、「家」のかたちどったマーク。「オイシックスの原点は野菜である」という意図を込めた。

オイシックスが、創業15周年を経て、いよいよ食品EC市場でのブランド確立に乗り出した。

業績は好調だ。Eコマース大手や流通大手がネットスーパー事業に注力する中、オイシックスは主力の食品定期宅配サービス「おいしっくすくらぶ」の会員数を、2015年3月末の9万6718人から、16年3月末には11万1036人に拡大。2013年7月にスタートした、働く母親などに向けたサービス「キットオイシックス」も好調で、2016年3月期の売上高は前年同期比11.6%増の201億5853万円となった。

8月1日付で、オイシックスのクリエイティブディレクターに就く水野学氏は、熊本県のキャラクター「くまモン」などのデザインのほか、麻織物の「中川政七商店」、だしや醤油などの調味料を扱う「茅乃舎」のブランディングも手がける。

就任に先がけ、ことし4月にはオイシックスの新たな企業ロゴと、シンボルマークの策定も行った。

─EC企業にクリエイティブディレクターは必要でしょうか。

奥谷孝司氏▶︎ 必要です。むしろEC企業こそクリエイティブディレクターがいるべき。水野学氏が就任するという話を聞いた際も、「ぜひやるべきだ」と賛成しました。必ずオイシックスを強くすると考えています。

─どんなメリットがありますか。

奥谷氏▶︎ 強いブランドがあれば、消費者の中に「ここで買いたい、このECサイトで買いたい」という気持ちが生まれやすくなります。それは信頼であり、人と企業の間にある、感情的なつながりとも言えます。

水野氏はこれから微に入り細に入り、オイシックスのブランド強化を担っていただけるものと考えています。ご本人も「売り上げに寄与する」と話されているので心強く思います。

─ブランドはECに貢献しますか。

奥谷氏▶︎ 私は、ブランドに目を向けねばならなくなる時代が来ると考えています。そして、顧客一人ひとりを見て寄り添えるEC企業のほうが、むしろアドバンテージがある。

売り上げを拡大するには、ほかのどのサイトでもなく「オイシックスで買いたい」と思っていただくことが不可欠となるはずです。

─購買に必然性を持たせるのに、ブランドが寄与する、と。

奥谷氏▶︎ そういうことだと思います。利便性だけで見れば …

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