レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
炊事、洗濯、掃除など日常の家事を代行する家事代行サービスが日本でも徐々に知られてきた。とはいえ、まだまだ一般的ではないサービスだけに、いかにサービス認知と理解を広げていくかが課題である。ユニークな切り口のキャンペーンや、量販店の売り場を活用した取り組みなど、消費者との接点づくりに工夫を凝らす各社のプロモーションを取材した。
2011年度の家事代行サービスの市場規模は811億円(矢野経済研究所の調査より)。これに対し経済産業省は、将来は約6000億円まで成長すると見込む。
事業者へ取材すると、家事をアウトソースすることへの抵抗感が薄まっている感触があるようだ。もともと家政婦を雇っていたような50~60代の富裕層に加え、世帯年収が高めの30~40代の共働き夫婦の利用が増えているという。本当に必要とする人に、いかにしてサービスの利便性に気づいてもらい、利用してもらうのか。一般的な家事代行サービスを行う企業のほか、宅配ネットクリーニング、洗濯代行サービスを加えた5社に取材した。
季節ごとにニーズの高まるサービスの打ち出し
●ダスキン/地域本部ごとに加盟店の意見を取り入れてチラシを作成。単発でサービスを利用できるキャンペーン料金を打ち出し、トライアルを促す。
ダスキンの家事代行サービス「メリーメイド」は、1989年、プロが室内を掃除する「お掃除おまかせサービス」から始まり、日常の家事を行う「家事おてつだいサービス」、整理収納に特化した「おかたづけサービス」へと広げてきた。中でも近年は「家事おてつだいサービス」のニーズが高いという。全国735店(2015年3月31日現在)の加盟店でサービスを提供している。
新規顧客獲得の中心となるのは、各加盟店から各家庭へのチラシ配布である。チラシの内容は、地域の加盟店を統括する地域本部が加盟店の声を吸い上げ、季節性や地域性を加味しながら作成する。例えば、カビが気になる梅雨の時期には「浴室クリーニング」、年末なら「大掃除キャンペーン」のように、季節ごとにニーズの高まるサービスを打ち出している。単発利用のキャンペーン料金でトライアルを促し、利用者に対して定期サービスの提案を行うという流れだ。
ダスキン クリーン・ケア営業本部運営部ケアサービス販売企画室主幹の今川恵美子氏は、「地域に根付いた加盟店が、お客さまのニーズや動向をつかみ、それらをキャンペーンやチラシに反映できることが私たちの一番の強みです」と話す。
他にも、マンションのフロントや医院など、サービス利用の潜在層が集まる場所でサービス案内のリーフレットを設置したり、産前産後の母親向け応援プランのリーフレットを産婦人科に設置したりしている。実は、ここでもダスキンならではの強みが生きている。ダスキンでは、モップのレンタル事業や専門技術を駆使して掃除を行うハウスクリーニング事業、法人向け事業など暮らしの幅広い領域をカバーする商品やサービスを展開している。こうした事業とも連携し、ダスキンと取り引きのある事業所や顧客にメリーメイドを案内することで相乗効果を狙っている。
メリーメイドの定期サービス利用客に対しては、有意義な情報をスタッフが手渡しすることにも力を入れている。そのために本部が作成するツールの一つが …