P&Gが生理用品「always」で実施した「Like A Girl」キャンペーンより。俳優らに「女の子らしくアクションして」とリクエストすると、みなナヨナヨとした動きをするが、女の子たちに同じことをやらせると、むしろ力強くアクションする。
抑圧的な先入観から人々を解放する
今年アメリカで話題になったプロモーション事例をUSのジオメトリーにヒアリングしたところ、共通の傾向が浮かびあがりました。それは「社会に浸透している人々の先入観に疑問に真正面から向き合い、感情や感性の絶妙なバランスでステレオタイプに疑問を投げかけ、行動様式を変容させる」というもの。特に女性の社会的地位や尊厳をテーマにしたプロモーションが大きな影響を与えていました。
代表的なキャンペーンとしてアメリカのみならずワールドワイドに話題を呼んだP&Gの「Like a Girl」(女の子らしく)キャンペーンがあります。
動画は純粋な少女と、いつの間にか先入観にとらわれてしまっている女性とを対比させ、女性自身でさえも、先入観にとらわれて過小評価する傾向にあることを浮き彫りにしました。「違いをはっきり見せられて驚いた」「Like a girlにはハッとさせられました。たった三文字が、ことさらに感受性の高い少年、少女にとって、こんなにも文字通りdemanding(有害な、悪影響を及ぼす)な言葉であったとは思っていませんでした。(女の子らしくという言葉を)自分自身も軽い気持ちで使っていましたが、以来この言葉を使うことをやめました」という生のリアクションを耳にしています。
アメリカにおいても、若い頃はあまりにもネガティブな既成概念に直面し、またメディアから詮索され、最終的に女の子らしさが弱点となってしまっている傾向にあるように思います。
シカゴオフィスの女性スタッフはこんなふうに語っていました。
「子どもたち、特に女の子がこの言葉を否定的にとらえていないことはすばらしいと思います。言葉というものは、考える以上に重要でパワフルなもので、アメリカのように、さまざまな出自、バックグラウンドで構成されている国では、礼儀や尊敬もそうですが、特に言葉は重要な役割を担います。
言葉にスポットを当てることで、無意識が明らかになることがしばしばあります。本キャンペーンは、“Like a Girl(女の子らしく)“という真の意義を、企業からの呼びかけという印象を抱かせずに、純粋に人々に興味を持ってもらうことに成功しました。既成概念を別の視点から再構築し ...