訪日観光客の関心をつかむにはどうすればいいのか。メディアも海外ユーザーを拡大しようと動き始めた。コンテンツ制作のプロである彼らの取り組みも参考になりそうだ。
訪日を検討している外国人消費者に対し、現地のブロガーを起用して話題づくりを図ろうとする企業は少なくない。従来的なマス広告のように一律に“面”で情報を届けるのではなく、消費者の間で発信起点となり、周囲の人々に影響を与える存在=「インフルエンサー」にアプローチする手法だ。
コンテンツがインフルエンサーに届いた結果、どのように情報が伝搬し、場所やモノへの親近感が築かれるのか、雑誌コンテンツとネットのトラッキング技術などを掛け合わせ、可視化しようという取り組みが始まった。
主導するのは、電通国際情報サービス(ISID)。メディアやコンテンツが訪日行動にどのように影響を与えるかを可視化する研究プロジェクトの第一弾として、紙・デジタル・ソーシャルメディアを連携させた実験的雑誌『MODE.TOKYO(モード・トウキョウ)』の創刊準備号を9月30日付で発行した。この雑誌では、記事ごとの注目度や波及プロセス、訪日時の行動に与える影響等の分析を行う。『MODE.TOKYO』の企画・編集は角川アスキー総合研究所が行う。編集長には、元Esquire編集長の清水清氏を迎えた。誌面は英・仏・日の3カ国語で、各記事に添えられた二次元コードを読み込むと、誌面連動のデジタルコンテンツをソーシャルメディアで共有したり、記事で紹介された場所や施設を地図で確認したりできる。
具体的なデジタルコンテンツやソーシャルメディア連携、データ収集・分析はISID内のオープンイノベーションラボ(イノラボ)が担当する。これまでに培った、ソーシャルメディアの利用履歴から知人関係の有無を類推したり、口コミの起点となるコンテンツや知人間におけるインフルエンサーの影響度を可視化する研究を生かす。「地域や施設へのチェックイン数などもデータ収集・分析する。何が訪日観光客の意思決定を左右するのかを見つけ出したい」(ISID・イノラボのエグゼクティブ・プロデューサーの鈴木淳一氏)。
プレ号の誌面では …